なぜマスゴミの「ブーメラン報道」が目立ってきているのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
マスコミの「ブーメラン報道」が目立ってきている。最低賃金の問題について、中日新聞は政府が掲げる「時給1000円」を目指すべきと主張したものの、自社のデスク補助業務の学生アルバイトを「時給910円」で募集していることが判明。なぜこのような報道が起きるかというと……。
なぜツッコミどころ満載のブーメランを披露してしまうのか
朝日新聞にしても、中日新聞にしても、この世界では反権力の旗手として知られる。そんな一流ジャーナリスト集団が、なぜこんなツッコミどころ満載のブーメランを披露してしまうのか。
いろいろなご意見があるだろうが、ひとつには「ジャーナリスト」という職業がもつ構造的な欠陥によるところが大きい。
日本国内では、ジャーナリストが書く批評というものは、中立的に物事を分析した、いわゆる「客観報道」だと思われているが、これは「人類みな兄弟」みたいに、そうありたいという願望を述べたスローガンにすぎない。
というのも、実は世の「ジャーナリスト」を名乗る人のほとんどが、何か物事を批評しようとする際にもっとも頼りにしているのは、自分の「勘」だからだ。
朝日や中日の社説担当者も同様で、勘の赴くままにスラスラと主観を書くので、きれいにブーメランとして自分にかえってくる。民進党の国会議員たちが脊髄反射的に政権批判をすると、そのほとんどが自分たちにもあてはまる問題でブーメランになってしまうのとまったく同じである。
そう聞くと、ジャーナリストという人種の方たちをディスっているように聞こえるかもしれないが、そんなつもりは毛頭ない。
日本でジャーナリストというと、「中立公正に森羅万象を切り取るパーフェクトヒューマン」というイメージだが、こういうとらえ方はかなり特殊で、世界的にはジャーナリストが勘にたよって、「主観」に満ちた存在だというのはご本人たちも認めている。
例えば、ノルウェー在住のジャーナリスト、鐙麻樹(あぶみ・あさき)氏によると、CNNで長年勤めあげ、自身の冠番組も持つ米国の著名ジャーナリスト、ラリー・キング氏はノルウェーのジャーナリズム関係者と、ジャーナリズムやフェイクニュースについて語った際にこのように述べたという。
『全てのジャーナリズムは主観的だ。ニューヨーク・タイムズは毎晩ミーティングをして、何が翌朝の見出しになるかを決める。それは主観的な決定だ。編集部やテレビ局が、何がヘッドラインになるかを決める。しかし、それは私が願わくば、長い間、経験で培ってきたジャーナリストの勘によるものだ。ジャーナリストとしての経験が、これは重要だと決める』(北欧ノルウェー便り 鐙麻樹 7月3日)
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