東洋ゴム、「空気いらず」の自動車タイヤ開発 特徴は?:実用化は未定
東洋ゴムが、空気の充てんが不要の自動車用コンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」を開発したと発表。空気の代わりに、樹脂製のスポークが衝撃を吸収する仕組みを採用している点が特徴。
東洋ゴムは9月8日、空気の充てんが不要の自動車用コンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」を開発したと発表した。空気の代わりに、樹脂製のスポーク(車輪を支える棒状の部品)が衝撃を吸収する仕組みを採用している点が特徴。実用化の時期は未定。
主なスペックは、外径540ミリ、幅140ミリ。リムは14インチに相当する。
タイヤ1個当たりのスポーク本数は、過去の試作品の約2倍となる100ピッチ。本数を増やしたことで接地時に発生する打撃音を緩和し、走行時の車外騒音を軽減したという。
配置方法は、タイヤ幅の奥側と手前側のスポークを交差させた「X字型スポーク構造」を採用し、高い耐久性を実現したという。トレッドゴムとスポークの間はカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)で補強し、スポークへの荷重を軽減したとしている。
これらの工夫により、耐久性は同社が市販している空気入りタイヤ向けの法規相当条件をクリア。車外騒音の小ささは市販製品と遜色ないレベルに近づいたという。
また、タイヤの転がりやすさを示す「転がり抵抗値」は約25%、ぬれた路面でのブレーキ性能を示す「ウエット制動距離」は約4%、それぞれ市販品から改善できたとしている。
ただし、東洋ゴムの実車評価ドライバーが走行テストを行ったところ、車内に振動が伝わりやすく、乗り心地や車内音の面では課題が残る結果になったという。
同社は「ノアイアが実用化された場合、パンクするリスクやメンテナンスに要する手間を軽減できる。実用化に向け、課題を改善できるよう今後も研究を続けていきたい」(広報担当者)と話している。
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