家電で快進撃 アイリスオーヤマ、新炊飯器を発売:売上高50%増
アイリスオーヤマが、新型炊飯器2機種を10月14日に発売すると発表。顧客の食生活の多様化や健康志向の高まりに対応する機能を持つ点が特徴だ。
アイリスオーヤマは9月21日、炊飯器2機種を10月14日に発売すると発表した。2015年に米家電事業に参入後、低価格路線を展開して急速にシェアを伸ばしてきた。新製品の価格は2万円台後半〜3万円台前半とやや高価だが、多機能なのが特徴。食生活の多様化や健康志向の高まりに対応する機種をそろえ、家電事業をさらに拡大する。
発売するのは「銘柄炊き 圧力IHジャー炊飯器 5.5合」(税別2万9800円)と、「銘柄量り炊き IHジャー炊飯器 3合」(同3万2800円)。ともに1人〜2人暮らしの少人数世帯を想定し、全国の家電量販店などで販売する。17年度の出荷目標は前者が10万台、後者が8万台。
料理に応じて最適な炊き方を
銘柄炊き 圧力IHジャー炊飯器 5.5合は、料理や食べ方に応じて加熱工程や加圧時間を調整する「こだわり炊き分けモード」を搭載する。
具体的には、(1)米を握った際も味が落ちないよう、粒立ちがよくほぐれやすく炊き上げる「おむすびモード」、(2)冷凍保存を想定し、解凍後に固くならないよう柔らかく炊き上げる「冷凍ご飯モード」、(3)つゆを吸ってもふやけないよう固めに炊き上げる「どんぶりモード」――など5通りの炊き方ができる。
圧力と加熱工程の調整によって、米に含まれる食物繊維の一種「レジスタントスターチ」の量を通常の約2倍にする「食物繊維米モード」も備える。食物繊維米は腸内環境を整え、便秘解消などに効果的という。
釜に入れた米の銘柄に応じて最適な火力・圧力で炊き上げる「銘柄炊き」機能も備える。「こしひかり」「あきたこまち」「ひとめぼれ」など32銘柄に対応する。
お米のカロリーを算出 ダイエットの心強い味方に
銘柄量り炊き IHジャー炊飯器 3合は、16年9月発売の同名製品をリニューアル。ご飯・玄米・おかゆをよそった際に、重さを基にカロリーを算出し、液晶画面に表示する機能を新たに追加した。食事制限をしている人や体形を維持したい人の需要を見込む。
米の銘柄に応じて水量を自動調整し、最適な火力・加熱時間で炊き上げる「量り炊き」機能も旧製品から強化し、新たに「なすひかり」「おいでまい」「晴天の霹靂(へきれき)」――など9銘柄に対応。計40銘柄の炊き分けが可能となった。
本体は分離式になっており、下部はIH調理器としても利用できる。
アイリスオーヤマ 家電開発部の原英克 統括マネジャーは「新製品の開発に向け、他社製品も含めて1万円以下のマイコン炊飯器から10万円超の高級IH炊飯器まで、さまざまな機種をそろえて炊飯実験を行った。その結果、人々は必ずしも高価な炊飯器で炊いた米をおいしいと感じるとは限らなかった」と明かす。
「そこで、米や料理の特徴に合わせた炊飯ができる機能を拡充し、ブランド米を簡単においしく食べられるよう工夫した」(原統括マネジャー)という。
10月下旬からテレビCMを放映し、認知度向上を図っていく。中核事業に位置付ける米家電事業の成長によって、17年12月期の家電事業全体の売上高は前期比約50%増の730億円を見込む。
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