アイリスオーヤマはなぜ「家電事業」に参入し、「結果」を出してきたのか:水曜インタビュー劇場(家電公演)(1/7 ページ)
アイリスオーヤマが家電事業にチカラを入れている。2015年12月期の売上高は400億円に対し、2016年12月期の目標は600億円を掲げている。競争が激しい世界で、なぜ後発組の同社が売り上げを伸ばしているのか。担当者に話を聞いたところ……。
「アイリスオーヤマ」という社名を聞いて、どんな商品を想像するだろうか。「そーいえば、家にチェストがあったなあ」という人もいれば、「ドッグフードを買っているよ」という人もいるはず。一方で、「うーん、ロゴは赤いハートの形をしていたよね? 買ったことはあるけれど、何を買ったか思い出せない」という人もいるのでは。
ホームセンターに足を運べば、同社の商品がズラリと並んでいる。それもそのはず。毎週月曜日に「新商品開発会議」を開いていて、この会議から年間1000点以上の商品が生まれているのだ。ジャンルもさまざま。収納ケースもあれば、カイロもあれば、お米もある。扱っていないモノを探すのが難しい中で、ここ数年メキメキチカラをつけてきたジャンルがある。家電だ。
2005年に家電事業に参入し、2009年には「efeel」というブランドで単身世帯向けの家電を発売。2011年以降「2口IHクッキングヒーター」や「銘柄炊きジャー炊飯器」などヒット商品を連発。2013年には、家電事業の開発拠点として「大阪R&Dセンター」を設立し、大手メーカーのパナソニックやシャープなどで活躍してきた家電のエキスパートを積極的に採用しているのだ。
家電事業の売り上げはどんどん伸びていて、2015年12月期で400億円、2016年12月期の目標は600億円を掲げている。このような話を聞くと、「おおー、スゴいなあ」と思われるかもしれないが、日本を代表する家電メーカーの売り上げと比べると、まだまだ……まだである。H社やS社やP社などが「兆」単位で家電をじゃんじゃか売っているのに対し、アイリスオーヤマはまだ「億」である。しかも、1000億円すら達していない。現在は「巨大な像」と「小さなアリ」くらいの差があるので勝負にならないが、小さなアリの動きが気になるのである。
日本の家電業界は、海外に押されて苦戦を強いられてきた。リストラだけにとどまらず、海外企業に買収されるケースもあったのに、なぜアイリスオーヤマは家電事業に参入したのか。しかも、厳しい環境の中にもかかわらず、結果を出している。そんな疑問を同社に投げかけてみると、「家電に参入したのは自然な流れ」「商品開発の秘けつはデータに頼らないこと」という答えが返ってきた。どういう意味か。気になったので、同社で家電事業を担当している小林敬一さんと、広報の村越滋幸さんに話を聞いた。
関連記事
- 「YAMAHA」のプールが、学校でどんどん増えていったワケ
「ヤマハ発動機」といえば、多くの人が「バイクやヨットをつくっている会社でしょ」と想像するだろうが、実はプール事業も手掛けているのだ。しかも、学校用のプールはこれまで6000基以上も出荷していて、トップブランドとして君臨。なぜ同社のプールが増えていったのかというと……。 - “手先が伸びて縮むだけ”のロボットが、「在庫ゼロ」になるほど売れている理由
「ロボット」と聞けば、複雑な動きをするモノ――。といったイメージをしている人も多いと思うが、手先が伸縮するだけのロボットが売れている。トヨタ自動車やオムロンといった大企業が導入していて、現在の在庫は「ゼロ」。なぜ多くの企業が、単純な動きをするロボットを求めているのか。 - 眼鏡がいらなくなる? 世界初の「ピンホールコンタクトレンズ」にびっくり
近視や老眼をコンタクトレンズ1枚でカバーできる「ピンホールコンタクトレンズ」をご存じだろうか。現在、臨床研究を進めていて、2017年度中の商品化を目指しているという。どのような原理でできているかというと……。 - ジャポニカ学習帳の表紙から「昆虫」が消えた、本当の理由
ジャポニカ学習帳の表紙といえば、「昆虫」の写真を思い浮かべる人も多いだろうが、数年前に昆虫が消えた。教師や保護者から「昆虫が気持ち悪いから変えてほしい」といった要望があって、発売元のショウワノートが削除したというが、本当にそうなのか? - なぜ学校のプールで「水泳帽子」をかぶるのか 知られざる下町企業のチカラ
プールの授業で使っていた「水泳帽子」はどこのメーカーでしたか? このように聞かれて、即答できる人はほとんどいないはず。多くの人は考えたこともないだろうが、いまから50年ほど前に水泳帽子が生まれ、市場をつくってきた会社がある。東京の下町にある「フットマーク」という会社だ。 - 生産中止! 大苦戦していたブラックサンダーが、なぜ“売れ続けて”いるのか
30円のブラックサンダーを食べたことがある人も多いはず。年間1億個以上も売れているヒット商品だが、発売当初は全く売れなかった。一度は生産中止に追い込まれたのに、なぜ“国民の駄菓子”にまで成長することができたのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.