日本で消費が伸びるキウイ 果物全体は低迷続く:10年間で1.8倍
日本人の果物消費量が落ち続けている。そうした中、奮闘するのがキウイフルーツだ。この10年間で消費者の購入数量は1.8倍になっているのだ。
夏から秋に季節が移り、スーパーマーケットなどの店頭に並ぶ果物もさま変わりしてきた。まさに「実りの秋」が本番を迎えようとしている。
しかし、そうした光景とは裏腹に日本人の果物消費量は落ち続けている。総務省が発表する「家計調査」のデータによると、生鮮果物の購入数量(2人以上の世帯)は減少の一途をたどっており、2016年は76キログラムとこの20年間で3割も減っているのだ。
そうした中でじわじわと伸びているのがキウイフルーツである。ビタミンCが豊富だということで、消費者の健康志向などが追い風となり、過去10年で購入数量は約1.8倍の2キログラムとなっている。全体の中での割合は小さいが、この消費者ニーズの変化は決して小さいとは言えないだろう。
国内に流通するキウイフルーツの7割がニュージーランド産。そのほぼすべてを扱うのがゼスプリ インターナショナル ジャパンである。ロゴマークを見たことがある方も多いだろう。日本での販売量は16年度の約2100万トレイ(1トレイ=3.6キログラム)から17年度には約2400万トレイと増えている。
1988年、ニュージーランドのキウイフルーツ生産者の収入安定を目指した官製団体としてニュージーランド・キウイフルーツ・マーケティングボード(NZKBM)が設立。97年にはその販売子会社としてゼスプリ インターナショナルが誕生した。それに合わせて、ニュージーランドのキウイフルーツのブランドネームを「ゼスプリ」として、同社が輸出向けキウイフルーツをほぼ独占的に扱っているのである。
現在、全世界でのキウイフルーツの出荷総量は約300万トン。そのうちニュージーランド産は約50万トンで、そのほかチリ、イタリア、ギリシャ、中国などが主な生産国である。一方、ここ数年で消費量が増えている市場は中国や日本であり、ゼスプリでは日本への供給を強化するために、宮崎や大分、愛媛の農園において黄色の果肉と甘さが特徴の新製品「サンゴールドキウイ」の栽培を開始した。2021年度に350万トレイを収穫する目標だ。
ゼスプリの強みとして、ゼスプリ インターナショナルのレイン・ジャガーCEOは「キウイフルーツの熟度」を強調する。同社では収穫してから店頭に並ぶまでのキウイフルーツの温度管理を徹底。ニュージーランドから船で海外諸国に運搬する船内でも温度をリアルタイムで調整することで、店頭で消費者が購入するタイミングで最も食べごろになるような熟度にしているのだという。
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