なぜ小池百合子は「仲間」との写真撮影に「3万円」を徴収したのか:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
「希望の党」を立ち上げた小池百合子さんが、党公認候補予定者らとツーショットの写真撮影をして、そこで「3万円」を徴収した。「選挙資金がないからと言って、お金に汚すぎる」と思われたかもしれないが、小池さんの狙いは別のところにあるのではないか。それは……。
「3万円の撮影会」を開催しながら、値踏みしていたのでは
事実、小池さんは結党後、東京都庁での記者会見で、民進党の資金と組織力を頼っているのではないかという指摘に対して、以下のように答えた。
「お金欲しさにうんぬんと批判される方、それは全くの間違いでございます。今回、しがらみのない政治をやっていくためには、お金のしがらみからつくってはいけません。そういった意味で、今回、希望の党で公認候補として戦っていただく方は、自前の努力で出馬、そして選挙戦を戦ってもらうということを条件としています」
「3万円の撮影会」を催しながら、小池さんはひとりひとりの候補者に対して、自分の知名度にどこまで頼っているのか、「自前の努力」がどこまできるのかを値踏みしていたのではないか。
候補者の政治信条の「踏み絵」として、「安全保障」や「憲法改正」を突きつけたように、民進党から流れてくる海のものとも山のもとも知れぬ候補者たちの実力をはかる目安として、「撮影料3万円」を突きつけたのではないのか。
いやいや、いくら「策士」として知られる小池さんだって、写真撮影ごときにそこまで深い意味はないだろ、と思う方も多いかもしれない。ただ、小池さんの政治家としてのキャリアを振り返ってみれば、新党に群がる「ダメ候補者」の見極めなどやって当然というような印象もある。
ご存じのように、小池さんは1992年にキャスターから政界へ転身後、「渡り鳥」なんて言われるほど新党を渡り歩いているのだが、「党首や政党の人気に便乗するダメ候補者」が登場したのは、まさにそんな「新党ブーム」の時代だった。
小池さんが小沢一郎さん率いる自由党へ移って、広報委員として「剛腕・小沢一郎」というブランディングにいそしんでいた1998年の参院選に、今では当たり前となった「ダメ候補者」の萌芽がみてとれる。
『「候補者の大きな顔写真と名前」が定番の選挙ポスターに交じり、党首の顔写真とげき文を添えたポスターが公営掲示板に並んでいる。知名度不足に悩む新人陣営が「党首への期待を票に結びつけよう」とひねり出した苦肉の策。たすきに党首の名前を入れる候補者まで現れた』(読売新聞 1998年6月29日)
関連記事
- 日本人が「通勤地獄」から抜け出せない、歴史的な背景
暑くなってきたので「満員電車」が辛くなってきた。「働き方改革を実現しよー」「時差出勤をしよー」と叫ばれているのに、なぜ“通勤地獄”は解消されないのか。その歴史をひも解いてみると、意外な事実が……。 - なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか
街中を歩いていて、おじさんが「責任者を出せ!」と騒いでいるのを聞いたことはないだろうか。例えば、駅員に大声を出したり、コンビニの店員を叱ったり、とにかく日本のおじさんはよく怒っている。なぜおじさんは「責任者を呼べ!」と叫ぶのか、その背景を調べてみると……。 - 「ウィルキンソン」がバカ売れしている本当の理由
「ウィルキンソン」が売れている。躍進のきっかけはハイボールブーム。割り材としての需要が増えたことでブランド認知が上がったそうだが、大事な要素が欠けているのではないだろうか。どういうことかというと……。 - だから、なんども「炎上CM」がつくられていく
大企業や自治体のPR動画がたて続けに「女性蔑視」で炎上している。ネット上ですぐに火がついてしまうので、「昔はもっとおおらかだった、社会全体が不寛容になってきている」と嘆く人もいるだろうが、本当にそうなのか。昔から批判を受けてきたCMはたくさんあって……。 - 「最近の政治家は“質”が落ちている」というのは大ウソだ
政治家の不祥事が続いている。パワハラ議員がいたり、サッカーファンをののしる議員がいたり。このほかにもダメ政治家が世間をにぎわせているが、最近の政治家は本当に質が落ちているのか。いや、そうではなくて……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.