「アズールレーン」席巻 大躍進「中華ゲーム」のヒミツ:中華圏発のゲームアプリが続々日本上陸(3/4 ページ)
艦船擬人化スマホゲーム「アズールレーン」が注目されている。実はこのゲーム、日本国内でヒットしているものの、開発元は中国企業だ。続々と上陸する中華圏発のゲームアプリに迫る。
中華ゲームが日本に上陸するワケ
なぜ中華ゲームが続々と日本に上陸しているのか。大きな要因として、日本国内でのゲーム開発費の高騰が挙げられる。
「App StoreやGoogle Playのランキング上位に入るようなゲームを作るには、開発費やプロモーション費用で軽く3〜5億円掛かってしまう。かつてはローコストハイリターンとも言われていたスマホゲーム開発ですが、国内市場はすでに成熟していて、ソシャゲバブルはとうに弾け、新規参入は難しい。大手もどんどん新作を出していかなければいけない状況です。国内の開発コストは高まる一方となっています」
中小パブリッシャーにとっては、増え続ける開発コストの負担はますます重くなっている。中華圏でも日本と同様開発費は膨らんでいるが、それでもまだ人件費は安い場合が多い。中華圏で制作され、“実績”もあるゲームをローカライズ・カルチャライズし、パブリッシャーやプロモーション担当としての権利を獲得すれば、高品質のゲームを数百万〜数千万円規模という比較的低コストで展開できる──というわけだ。自社開発のみでは体力が続かない企業にとって、中華ゲームは“救いの1本”になりうる。
こうした構図は、韓国ドラマが世界での競争力を得ていった経緯とある部分で似ている。2000年代に韓国ドラマがアジアを中心に広まったのは、韓国国内での堅調な需要と安定した制作基盤に加え、版権料が割安だったからと言われている。良質なコンテンツを割安で獲得できるため、衛星放送やケーブルテレビなどの地上波よりも予算が潤沢でない放送局が韓国ドラマを多く流したことで、日本国内でのブームにつながった。ただドラマとは違い、ゲームはユーザーが「これは中華発だ」と意識せずに触れるようになっている。
中華圏の開発会社にとっても、日本市場での展開はメリットがある。日本の市場規模そのものは小さくとも、「日本のコンテンツ」というブランドにはまだ力がある。「日本でリリースされた」「日本でアニメ化された」という実績が、中華圏の市場での売り上げを後押しするのだ。「日本のパブリッシャーに売り込みをかける中華圏の企業も少なくない」とA氏は語る。
また、国内の有名IP(知的財産)のゲームを中華圏の企業が開発する例も見られるようになった。例えば集英社の大ヒット忍者マンガ「NARUTO」のスマホゲームは、バンダイナムコエンターテインメントと中国のテンセントゲームスが共同開発している。
SNKの有名格闘ゲームIPものの「THE KING OF FIGHTERS(KOF) '98 ULTIMATE MATCH Online」も中国企業Ourpalmが運営している。スマホ版「KOF」に関しては、運営会社を当初日本企業と記載するなど運営上のトラブルが発生しているため、手放しで取り上げることはできないが、重要な一例だろう。この動きはますます加速するとみられる。
「日本がガチャ課金システムを支えるのは、ガチャを引きたくなるような魅力的なキャラクター。有名なIPのキャラクターは、それだけでガチャを引かせる力があります。そうしたキャラを多数有する強力なIPの力と、中華圏のゲーム開発ノウハウが合わさることで、ヒット作が生まれる。キャラ表現の好みが日本と中華圏ではやや異なるため、ローカライズとカルチャライズの必要はありますが、日本IPものと中華圏ゲームは相性がいいと思います」
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