「体験」はウリになるのか? ブランドがホテルに参入する意味:来週話題になるハナシ(3/4 ページ)
ネット通販がどんどん便利になるにつれ、店舗を訪れる客が減っている。ブランド力をアップさせるために各社はどのような手を打っているのか。国内外で「体験」を提供する動きが出てきて……。
日本でも「体験型」の動き
そんなシャイノラが、次に手がけるのがホテルビジネスだ。もちろん場所は、デトロイトである。
再開発が急激に進んでいるデトロイトには、オシャレなブティックホテルの数が圧倒的に少ない。こうした状態に対しシャイノラは、商業不動産会社のBedrockと共同で「Shinola Hotel」を2018年秋にオープンさせる予定だという。
もちろんシャイノラの商品をホテルで「体験」できる。また、地元に熱い思いを寄せているシャイノラは、旅行客と現地の人が文化交流でき、楽しめる場所を提供したいと考えているという。ホテルビジネスを通じて、ライフスタイルブランドとして成長しているシャイノラの世界観をシェアできる、コミュニティを構築するのが狙いだ。
そして日本でも「体験型」の動きはある。世界的にその名前が知られている日本のブランド、無印良品も2019年春に「MUJI HOTEL」を銀座にオープンする予定なのだ(関連記事)。
興味深いのは、店舗とホテルが同じビルに入る、ユニークな形態になることだ。銀座という一等地に位置しているため、土地を最大限に有効活用できるという点ではスマートなアプローチだろう。
地下1階から地上6階の一部を占める無印良品の店舗は、世界最大となる旗艦店として約7000アイテムの全商品を取りそろえる。そして、6階から10階に建設される「MUJI HOTEL」では、ブランドの世界観を最大限に体験できるのが特徴になるという。ホテルに宿泊して、気に入ったアイテムを階下で購入することもできる、「究極の体験型ショールーム」となる。
また、「MUJI HOTEL」の設計・運営に加わるのが、「まちの価値を高めるホテルづくり」に定評のある企業、UDSだ。目黒にあるリノベーションホテル「CLASKA(クラスカ)」や学生寮をアート系ホテルとシェアハウスにリノベーションした「ホテルアンテルーム京都」などを手がける会社である。
無印良品とUDSのコラボレーションで、日本初となる「MUJI HOTEL」がどのようなデザインに仕上がるのか非常に気になるところだ。世界的に注目されることは間違いない。
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