カプセルホテルに似たホテルが、地方を再生させるかもしれない:水曜インタビュー劇場(稼働率90%公演)(1/5 ページ)
カプセルホテルのようで、カプセルホテルでない。そんな宿泊施設が全国で増えているのをご存じだろうか。その名は「ファーストキャビン」。全店の平均稼働率が90%を超えているホテルは、どのような特徴があるのか。
カプセルホテルのようで、カプセルホテルではない。ビジネスホテルのようで、ビジネスホテルではない。ありそうでなかった宿泊施設が、全国で増えているのをご存じだろうか。その名は「ファーストキャビン」。2009年に大阪で誕生し、その後、年1店舗ペースで増えてきたが、今年に入って9店舗も開業。それだけではない。全店の平均稼働率は、90%を超えているのだ。
部屋は、4.4平方メートルの「ファーストクラスキャビン」と、2.5平方メートルの「ビジネスクラスキャビン」の2種類を用意(一部店舗で別タイプあり)。2畳弱から3畳の広さで、価格は1泊4200〜7700円。部屋と通路を隔てるのはスクリーンカーテンのみなので、完全な個室ではない。当然、通路を歩く人の足跡は聞こえてくるし、隣にいる人の声も聞こえてくる。貴重品はカギをかけてしまうことができるが、カーテンにカギはない。プライバシーを保つことができないし、部屋に窓もないので「カプセルホテルと同じじゃないか。しかも料金も高いよ」と思われたかもしれないが、このような形態の宿泊施設がビジネスパーソンを中心にウケているのだ。
では、一般的なカプセルホテルとどのような違いがあるのか。ファーストキャビンの最大の特徴は、コンパクトな空間なのに快適に過ごすことができる工夫が施されていること。部屋で人が立つことができる高さがあるほか、テレビ、Wi-Fi、天井照明、アメニティなど必要なモノはすべてそろっている。ロビーのフロントは上質感が漂うデザインで、トイレや共用の大浴場も清潔。カプセルホテルといえば、終電を逃したサラリーマンが宿泊するといったイメージが強いが、ファーストキャビンは女性客が4〜5割ほどいて、リピーターが多いのも特徴である。
ビジネスホテルよりも安くて、カプセルホテルよりも高い宿泊施設は、どのようなきっかけで誕生したのか。運営しているプランテック総合計画事務所のグループ子会社、ファーストキャビン社の来海忠男(きまち・ただお)社長に話を聞いたところ、「オフィスビルの空室対策として生まれた」という。さらに話を聞いていくと、この事業モデルはひょっとしたら“地方の宿泊施設を再生させる”かもしれないと感じた。どういうことか。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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