カプセルホテルに似たホテルが、地方を再生させるかもしれない:水曜インタビュー劇場(稼働率90%公演)(5/5 ページ)
カプセルホテルのようで、カプセルホテルでない。そんな宿泊施設が全国で増えているのをご存じだろうか。その名は「ファーストキャビン」。全店の平均稼働率が90%を超えているホテルは、どのような特徴があるのか。
地方の宿泊施設が再生するかも
土肥: 地方に行くと、○○グランドホテルと書かれた立派な建物がどーんとありますよね。料理もステーキやら天ぷらやら刺身やらたくさん出てきて、1泊2万円以上する。もちろん、そうしたサービスを求める人であれば○○グランドホテルに泊まるほうがいいわけですが、宿泊費をできるだけ抑えて、その分をレジャーなどで楽しみたいという人も多いと思うんですよね。
じゃあ、安いホテルに泊まればいいじゃないか、といった声が聞こえてきそうですが、安いところを探すと、古いビジネスホテルしかなかったりする。部屋はちょっと汚れていて、風呂は狭くて。こんなところに泊まるんだったら家で寝たほうがいいや、と思ってしまう。そうした不満を感じている人にとっては、宿泊費は安くて清潔といった宿泊施設はニーズがあるはず。
来海: 全国にリゾートホテルってたくさんありますよね。いい感じで運営しているところと、そうでないところがあります。いい感じで運営していても、ホテルをリニューアルする資金がない、といったところがあるんですよね。そうしたホテルにファーストキャビンを入れることもできます。例えば、スキー場ではホテルは5カ月ほどしかもうかりません。その5カ月間だけ部屋を増やすこともできるんですよね。
また、全国には古くからある木造の旅館がたくさんありますが、そうしたところにもファーストキャビンを入れることができます。例えば、12畳の和室があまり稼働していなければ、そこに2部屋置くことができます。高額な宿泊費が原因でお客さんが少ないのであれば、1泊6000円だったら多くの人が泊まるかもしれません。
土肥: インバウンドなどの影響で「都市部のホテルが足りない」といった指摘がありますよね。いきなり出張が入って、現地に行ったものの、「泊まるホテルがない」「1泊3万円のホテルしか空いていない」といった声をよく聞くようになりました。ファーストキャビンのような宿泊施設はこうした問題を解決する糸口になるのかなあと思っていましたが、この事業モデルの本質はそこではない。都市部で苦しんでいるビルを次々に再生させたノウハウは、地方で苦しんでいる宿泊施設にも生かすことができる。
来海: 地方の再生にご注目ください。
(終わり)
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