加速する「電気飛行機」開発 空の移動はこう変わる:“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)
電気飛行機に関するプロジェクトが相次いで立ち上がっている。電気飛行機はコストが安く騒音がほとんどないという画期的な特徴を持っており、実用化が進めば空のタクシー化を一気に促すことになる。ウーバーのような予約システムが、タクシーだけでなくエアラインともシームレスにつながる可能性が高まってきた。
近距離航空輸送の市場が爆発的に拡大する?
つまり、プライベートジェットも実質的にレンタカーやカーシェアのような状況となっている。利用者の多くは時間単位での支払いであり、この形態とウーバー型のビジネスは親和性が高い。
既に多くのプライベートジェットの予約サイトがあり、日程、出発地、目的地、人数などを入力すると、該当するスケジュールで飛べるプライベートジェットの一覧が表示される。機材や価格などから、好みのものを選択して予約するだけでよい。日程や移動する場所にもよるが、条件がうまく合致すれば、1時間750〜1000ドルといった超低価格でプライベートジェットを利用することも可能だ。
もしこの分野に、圧倒的に安価な電気飛行機が登場してきた場合、近距離航空輸送の市場は爆発的に拡大する可能性がある。タクシーやハイヤーの予約サービスと、航空機の予約サービスは、おそらくシームレスにつながることになるだろう。AI(人工知能)を活用し、目的地を告げれば、もっとも効率がよく低価格なルートが提示されるはずである。その時、利用者はタクシーに乗るのと同じような感覚で、プライベート機を利用するようになるかもしれない。
加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。
著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。
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