「日本の電力会社は意地悪」 ソフトバンクが海外電力事業に注力する理由:サウジで太陽光発電開始
ソフトバンクグループの孫正義社長が、11月6日開いた2017年4〜9月期の決算会見に登壇。サウジアラビアなど海外で電力事業を推進する理由を語った。
「日本の電力会社は意地悪で、(他社を)村社会の理屈で締め出している。当社は地球に貢献するつもりで、可能な地域から電力事業を行っていく」――ソフトバンクグループの孫正義社長は、11月6日開いた決算会見でこう話した。
同社は10月25日に、サウジアラビアの電力会社Saudi Electricity Company(SEC)の大株主として経営に参加すると発表。株式の取得費用は10兆円規模のファンド「Softbank Vision Fund(SVF)」が出資する予定だが、最終的な出資額は「数カ月かけて調整する」(孫社長、以下同)という。
現在のSECは、潤沢な石油を生かした火力発電と天然ガス発電が中心で、再生可能エネルギーの活用はいまだ発展途上だ。孫社長はこうした状況を「こんなにもったいない話はない」と評し、「世界で最も優れた太陽と広い土地を生かして太陽光発電事業を行っていく」という。
東日本大震災をきっかけに発電事業に関心
ソフトバンクグループは通信事業を中心とする「情報革命業」をメイン事業に掲げているが、なぜ電力事業に注力するのだろうか。
孫社長は「11年の東日本大震災による電力不足で、キャリア(携帯事業者)の電話がつながらなくなったことがきっかけで電力事業に関心を持った」と話す。
「電気がないと電話すらできないことをあらためて認識するとともに、原子力発電の危険性も知ることができた。ソフトバンクグループを辞めてでも福島を助けたいと考えたこともある」という。
孫社長はその後、11年10月に電力子会社SBエナジーを立ち上げ、国内向けに太陽光や風力など再生可能エネルギー発電事業を展開。17年にはインドに進出し、太陽光発電所の運転を開始している。
孫社長は「取り組んだ分だけノウハウを得たが、日本は規制が多過ぎることも分かった。メインの事業ではないが、ノウハウを得た以上は貢献したい。愚痴を言っているだけでは進まないので、やれることからやっていく」と意気込む。
「ゆくゆくはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など最先端の技術を活用し、安価で世界一の電力サービスを目指したい。この取り組みをサウジアラビアから他の地域に積極的に広げていく」と話している。
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