「DMM.make AKIBA」3周年 成果と課題は:モノづくりのサポートスペース
モノづくりのシェアワーキングスペース「DMM.make AKIBA」が3周年。運営のDMM.comが運営実績を公表。見えてきた成果と課題は?
ネットサービス大手のDMM.comは11月15日、モノづくりのシェアワーキングスペース「DMM.make AKIBA」の3年間の運営実績を公表した。2014年11月のオープン以来、施設利用者数は1万2000人を突破。施設で活動してきたスタートアップは100社を超え、さまざまなハード関連の製品が開発されているという。
DMM.make AKIBAは、企業や個人がハードウェア開発の機材を利用できるワークスペース。打ち合わせのスペースや、オフィス利用できる個室なども備えている。交流会やセミナーなどのイベント開催も盛んだ。
コンセプトは「革新的なサービスやプロダクトを作り出し、急激な成長を目指す人々のためのプラットフォーム」。IoT(モノのインターネット)などハードウェアの開発のために、スタートアップや個人が活動拠点として使えるスペースを提供する――というビジネスだ。24時間出入りが可能で、DMMの機材に詳しい専門スタッフも常駐している。
累計利用者1万2000人のうち、多くはスタートアップ企業や大学の研究室に所属しているが、週末だけ利用するユーザーも全体の2割ほど。趣味の電子工作や子どもの工作体験利用などもあるという。
スタートアップにはいくつかのビジネスステージがある。コンセプトのビジネスモデルを持っている「SEED」、出資を受け始め事業として軌道に乗り始めた「EARLY」から、組織として確立しサービスや製品の成功パターンを生み出しつつある「LATER」まで――とさまざまな段階がある。
DMM.make AKIBAのコミュニティーマネジャーの上村遥子氏は「AKIBA施設を利用するスタートアップはSEEDやEARLYのステージが多いが、事業の急速な拡大や黒字化が果たす企業も増えてきている」と語る。
施設利用料は、個人なら月額1〜3万円ほどと利用しやすく、25歳未満なら無料になる「スカラシップ制度」なども用意している。
運営を支えるのはスポンサー企業だ。シャープや、曲面印刷や多機能素材で知られるタイカといったモノづくり企業の他にも、化粧品メーカーの日本ロレアルなども名を連ねる。こうしたスポンサー企業も、新プロダクトの開発などの用途で同施設を活用しているという。また、企業に向けた研修事業なども始めており、PwCコンサルティングなどに導入されている。
同施設エヴァンジェリストの岡島康憲氏は「売り上げをどうするのかという問題はある。個人としては、『売り上げを増やす施策を打たないと、十分なサポート体制を作れない』と考えている。国内外の企業がスポンサードしやすいパッケージを作ることも考えていきたい」と課題意識を語る。
今後は、「量産」「物流販売」のステージまで成長したスタートアップに対し、量産コンサルティングサービスを導入する考え。同施設の橋場光央総支配人は「DMM.make AKIBA発の成功事例が増えてほしい。ただし、DMMだけで全部やりきれるとは思っていない。さまざまな企業や省庁自治体からも協力をいただき、『DMM.make AKIBAに来ればなんとかなる』という認知を広げていきたい」と話している。
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