2017年度に就職活動を行った学生が、就職先選びの際に「ブラック企業」と判断した要因は「残業代が支払われない」が78.4%でトップ――人材サービスのディスコの調査でこうした結果が出た。以下「セクハラ・パワハラがある」(66.6%)、「成果を出さないと精神的に追い込まれる」(66.5%)と続いた。
ブラック企業と見なす目安を項目別に聞いたところ、新卒社員の入社後3年の離職率は「3割」が32.1%で最多。1カ月の残業時間は「40〜60時間未満」(27.2%)、年間の有給休暇取得日数は「5〜10日未満」(43.6%)がそれぞれトップだった。
こうした学生の認識に対し、ディスコは「学生が抱く(ブラック企業に対する)イメージは、企業側にはシビアな結果ではないだろうか」と指摘。企業の採用担当者からは、「ブラック企業という言葉が学生の間で独り歩きしている」との感想が寄せられたという。
具体的には、「何がブラック企業なのかを理解せずに、休日や残業、給与の待遇面を中心にして判断をする学生が多い」(建設・住宅・不動産業)、「ニュースになるのはごく一部の企業。同じ業界の全ての企業を敬遠せずに、説明会などに足を運んでほしい」(フードサービス業)などの声が集まった。
一方、「企業も是正すべき点は多くある。同時に、学生もどの程度なら納得できるのかを自分で判断する力が必要だ」(印刷業)、「企業側が意識を高く持つことが必要。時代の流れに乗り遅れると、いつの間にかブラック企業の烙印(らくいん)を押されてしまいかねない」(マスコミ)と警鐘を鳴らす意見もみられた。
調査は10月2日〜10日にかけて、ディスコのサービス「キャリタス就活2018」に登録している学生モニター1225人を対象にインターネット上で実施した。
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