小田急ロマンスカー「GSE」が映す、観光の新時代:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)
小田急電鉄は来春から導入する新型ロマンスカー70000形「GSE」を発表した。第1編成が3月から、第2編成は第1四半期早期の導入予定。製造はこの2本の予定だ。フラッグシップの特急を同じ車両で統一しない。小田急電鉄の考え方が興味深い。
LSE引退は2018年度初め。それまでは「いろいろあって楽しいでしょ」
小田急電鉄は2018年3月にダイヤ改正を実施し、長大な複々線区間を活用した増発と優等列車のスピードアップを実施する。ロマンスカーも観光用、通勤用のどちらも増便する。増便するためには車両が必要だ。ならば、箱根観光用にVSEの増備、通勤特急用にMSEの増備でもよかった。
他社を見れば、京成電鉄はスカイライナーの車両は全て新型に置き換えている。西武鉄道もレッドアローからニューレッドアローに全て統一し、次の新型車両の導入を告知している。車両の統一はサービスレベルの統一であり、車両の保守の面で都合がいい。東海道新幹線も形式は異なるとはいえ、座席配置は同じで効率よく運用している。
しかし、小田急はロマンスカーの形式を統一しない。今回は新たにGSEを2本導入する。3本目の予定はないという。いままでの小田急のやり方なら、3本目は作らず、新たなコンセプトで新形式を2本作るとなるだろう。定員も座席配置も異なるかもしれない。手間のかかることをやっている。
小田急社長いわく「GSEの2本目の導入時期は、工数の都合もあるとはいえ、わざとずらした。GSEの2本目は2018年度第1四半期の早めに入れる。その間、LSEとGSEが並ぶ様子を見ていただける」。つまり、「GSEの2本目と引き換えにLSEは引退」だ。「LSE、EXE、VSE、MSE、GSE、5種類のロマンスカーの競演を、短い間とはいえ、鉄道ファンの皆さんに楽しんでいただきたい」。VSEも2本導入し、製造時期は少しずれているとはいえ、運用開始日は同じだった。今回は運用開始日も変えた。鉄道ファンに人気のLSEについて、引退の花道を作ってくれたらしい。
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