東京圏主要区間「混雑率200%未満」のウソ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)
お盆休みが終わり、帰省先から首都圏に人々が帰ってきた。満員の通勤通学電車も復活した。国も鉄道会社も混雑対策は手詰まり。そもそも混雑の認定基準が現状に見合っていないから、何をやっても成功できそうにない。その原因の1つが現状認識の誤りだ。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
私は20年前に通勤生活からリタイアして自営業になった。電車に乗る時間帯は自由に選べる。しかし、通勤ラッシュ時間帯に電車に乗る必要もあり、心から申し訳ない気持ちになる。私が乗らなければ、この電車の混雑も少しマシだろう。私が乗ったせいで乗車できず、次の列車を待った人もいただろう。スーツや制服ばかりの車内で、私は身動きが取りやすい普段着だ。恐縮しきりである。
何しろギュウギュウ詰めの電車だ。国土交通省が示した「混雑の目安」に照らし合わせると、混雑率は250%だろうか。「電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない」という状態である。ちょっと待て、国交省の発表と全然違う。国交省によれば、2016年度の「東京圏における主要区間の混雑率」は200%未満だったはず。しかしこの大混雑。車内は身動きが取れず、冷房が効いても汗が噴き出す。いったいどういうことだ。
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