大学就職ランキングは「ナゾ」すぎる:関係者は注目しているが(3/3 ページ)
空前の売り手市場で学生優位な環境が続いている。大学関係者は「就職ランキング」にかなり注文しているが、そもそもこの種のランキングって意味があるのだろうか。
(4)そもそも就職「率」がおかしい
就職率はもっと操作が容易です。母数を誰にするかで数値が大きく変わるからです。私は長年理工系大学で教員を務めてきましたが、旧帝中心に、国立理系学生の9割近くが大学院に進学します。週刊誌などでも見かける就職率ランキングに「あれ? あの有名大学は?」という事態が起こるのは、「学部就職率」で図った場合です。
当然トップ理工系学生は学部で就職する学生が例外的なので、学部卒を母数にしてしまうと就職率が極端に下がるというカラクリです。同様に、就職が難しそうな学部生を無理矢理院に進学させてしまえば、学部就職率は当然上がります。「就職希望者」だけを母数にしてしまえば、体調その他でやはり就職が難しい学生も母数から外せます。博士後期課程学生の就職率といわれても、必ずしも3年で課程を修了できるとは限らない現実があり、やはり母数設定ができないのが現実なのです。
結局新聞や雑誌などの文字ソースがすたれ、ネットニュースだけが独り歩きするようになり、こうしたランキングはイキイキと活躍できるようになりました。「就職率〇〇%!」「就職ランキングNo.1!」などのキャッチコピーがいくらでも打ち出せるため、これまで以上に露出を高めそうな勢いですが、重々数値を吟味して判断することが大切です。
あと、学生諸君。就職環境がどれだけ良くても、あなた個人の就職が保証されてる訳ではないこと、絶対に忘れずに、ぬかりなく準備を進めてください。(増沢隆太)
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