なぜスシローは「スイーツ」に力を入れるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
下校時間、部活帰りにスシローへ来店する学生たち(特に女子大生)が増加しており、ランチとディナーの間のアイドルタイムの集客力が上がっている。なぜなのか。今回はスシローが注力する商品改革について考察する。
部署横断で「スイーツ好き社員」が開発
アイドルタイムに学生を集客するために新設したカフェ部では、「おじさんが商品を決めるより、スイーツが本当に好きな人たちが開発した方が、より良い商品ができる」(水留社長)として、役職や部署を取り払い、通常業務とカフェ部の業務を両立させる方策を取った。商品部、営業、広報・宣伝などの部署が混交した6人ほどでカフェ部を構成している。
カフェ部の村井友梨香部長は役職のない一般社員。「偉い人だけで組織をつくってしまうと、結局おじさんの意向が反映されてしまう」(同)と、新しい発想を生み出すためのに多様な人材で取り組んでいる。
デビュー作の「グラニースミス監修 アップルパイ」は、ファンゴーが経営するアップルパイ専門店「グラニースミス」のエッセンスを味わえる期間限定商品だ。「グラニースミス」のカフェではアップルパイのカットを400円で提供しているが、スシローでは280円と安い。
スシローでは2016年11月に、東京・代官山に本店を構えるパンケーキ専門店「ベリーファンシー」監修の「苺のふわとろパンケーキ」を期間限定で販売。売れ過ぎて、3日後には販売休止に追い込まれるほどの反響を呼んだ。翌12月には、「たっぷりマンゴーのふわとろパンケーキ」を第2弾として発売している。
代官山などに店舗を展開するハワイアンカフェ&ダイニング「アロハテーブル」監修の「ハワイアンフレンチトースト」を販売し、これも好評だった。
東京の有名スイーツ店がスシローとコラボする理由としては、全国に店舗網を持つスシローを通して、商品の知名度を全国に浸透させて来店につなげたい意向がある。
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