なぜスシローは「スイーツ」に力を入れるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
下校時間、部活帰りにスシローへ来店する学生たち(特に女子大生)が増加しており、ランチとディナーの間のアイドルタイムの集客力が上がっている。なぜなのか。今回はスシローが注力する商品改革について考察する。
「スシロー×羽田市場」プロジェクトで、地元で獲れた旬のネタを
一方の地元の旬の天然ものを提供する「スシロー×羽田市場」プロジェクトは、本業であるすしの強化策である。
スシローは「世界の海からいいネタ100円プロジェクト」を2016年11月にスタート。1皿100円で極上ネタを食べたいと願う顧客に向けて、商品調達ルートを見直し、12種の商品を送り出してきた。実はこれとは別に、多少高くてもいいから地元で獲れた旬のネタを食べたいというニーズも高まってきた。
例えば東京では金沢から進出した「金沢まいもん寿司」「もりもり寿し」、北海道の「根室花まる」、四国・愛媛の「すしえもん」などの地方の旬のネタを提供する回転すしが人気になっており、1皿200〜300円でも行列ができている状況だ。
そこでスシローでは、テスト的に大阪と千葉の店舗で地元で獲れたネタを投入。すると、「こういうネタが食べたかった」と大きな反響があったという。
しかし、全国470店近くあるチェーンにどうやって地元ネタを流すかは難題だ。こうした背景から「スシロー×羽田市場」プロジェクトが立ち上がった。
羽田市場は羽田空港内に鮮魚加工センターを持ち、全国の漁師から直接仕入れた魚介を飲食店に流す仕組みを築いており「超速鮮魚」のブランド名で鮮魚の流通革命に取り組んでいる。中間流通を通さないので朝獲れた魚がその日のうちに飲食店に並ぶ。
「天然魚というものは、ある時どこかで大量に湧くことがある。どこでどんな魚種がどれだけ湧くのか予測もつかないが、突き止めたところでなかなか一朝一夕に漁師さんが魚を売ってくれるものでもない」(水留社長)。
そこで各地の漁港にネットワークを持つ羽田市場とタッグを組み、スシローの商品部も一緒になって営業に動いて行く。スシローは羽田市場に出資しているが、子会社化は考えておらず、むしろ自由な活動でさらに漁師ネットワークを広げて、目利きの精度をより一層高めてもらうことに期待しているという。
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