インタビュー
「ブラック企業」なぜ消えぬ “厚労省リスト”の効果とは:掲載企業は氷山の一角だ(4/4 ページ)
厚生労働省は5月、労働基準関係法違反の疑いで送検された国内企業のリストをネットで公開した。“ブラック企業リスト”として話題となった。しかし、7カ月が経過した現在も、追加される企業は後を絶たない。リストに効果はあったのだろうか。ブラック企業はなぜなくならないのだろうか。
法律が厳しくならない理由
――なぜ、日本の法律は厳しく改正されないのですか。
新田氏:改正に関する議論が巻き起こると、議員の中から反対意見が必ず出てくるためです。「法律を改正すると、こんな弊害があるのでは」「ビジネス界からこんな反発があるのでは」――とリスクを気にする層が一定数存在するため、議員から可決条件を満たすほどの賛同が得られないのです。
法改正に携わる議員が、官僚にブラックな働き方を強いていることも一因かもしれません。議員が官僚に対し、国会前日に夜遅くまで答弁の想定問答集を作らせるケースも珍しくないと聞きます。
遅くまで残った官僚を自宅に送り届けるため、深夜の霞が関にタクシーが列をなしている光景をテレビなどで見たこともあるのではないでしょうか。
――法改正が期待できないとなると、ブラック企業が完全に淘汰(とうた)されるのはまだ先になりそうです。ビジネスパーソンが転職活動などで誤って入社しないためには、どうすべきなのでしょうか。
新田氏:個人のリテラシーを高めることが不可欠です。募集要項に「未経験者歓迎」と書かれていたり、採用サイトに「夢」「希望」「感謝」などと中身がない言葉が並んでいる企業は要注意です。今後ブラック企業リスト内にオフィスワーク系の企業が充実すれば、志望先が載っていないかチェックする、といった使い方が広がるかもしれません。
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