“残業減ると競争が激しくなる”? 「働き方改革」のオモテとウラ:「仕事が楽になる」とは限らない(1/5 ページ)
2017年は「働き方改革」が大きな注目を集めた。多くの企業がテレワークなどの施策を取り入れ、労働時間の短縮を図った。この流れがさらに加速する18年、ビジネス界はどう変わるのだろうか。
2017年は「プレミアムフライデー」「週休3日」「テレワーク」といった「働き方改革」が大きな注目を集め、残業時間の短縮や労働形態の多様化に取り組む企業が増えた。その一方で、「改革の影響で残業代が減り、生活が苦しくなった」「結局、自宅に仕事を持ち帰って作業している」――と弊害を指摘する声も挙がっている。
人手不足による業務過多などによって労働時間の短縮に踏み切れない中小企業や、旧態依然とした体制を変えられず、柔軟な勤務制度などを導入できない企業も多く、企業間の働き方格差も広がっている。
18年以降も大手企業を中心に広がるであろう働き方改革は、これからのビジネス界をどう変えていくのだろうか。
人材大手で人事や採用担当を歴任した経験を持ち、ビジネス界の動向に詳しい“ブラック企業アナリスト”こと新田龍さんは、「働き方改革によって残業時間が減ると、人材の生存競争はより厳しくなる。新しい働き方に対応できない人材は生き残れなくなる」と警鐘を鳴らす。
「働き方改革は『仕事を楽にする』と捉えられがちだが、実際はそう甘くない。一般的に“ブラック企業”と思われがちな、残業時間が長い企業の方が労働者に甘いケースもある」という。一体どういうことなのだろうか。新田さんに話を聞いた。
ビジネスパーソンは自分自身の働き方を「改革」すべき
――新田さんは、「働き方改革」によってビジネスパーソンの生存競争が激化すると予測されています。それはなぜでしょうか。
新田氏:労働時間が短くなったことにより、短時間で成果を上げられる人材の価値が高まるからです。残業する前提でだらだらと作業していた社員は、働き方を見直さないと会社に居場所がなくなる可能性があります。
1つ例を紹介すると、あるIT企業は「働き方改革の一環で残業をやめる」と宣言し、本当に一切の残業を禁止にしました。すると、労働時間の短さを魅力に感じ、長時間労働が常態化していた企業から多くの人材が転職してきました。
しかし一定の期間が過ぎると、「前職と違って早く帰れるからうれしい」と喜んでいた中途入社の社員たちが「つらい。辞めたい」と愚痴をこぼすようになったのです。
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