17年は「太陽光事業者」の倒産が過去最多 生存競争激化:安易な参入は生き残れない
2017年は、過去最多となる88件の太陽光関連事業者が倒産した。その背景とは――東京商工リサーチ調べ。
2017年は、過去最多となる88件の太陽光関連事業者が倒産した――東京商工リサーチの調査でこんな結果が出た。12年に固定価格買取制度がスタートして以降、さまざまな企業が市場に参入し、競争の激化が続いているため。太陽光以外の再生可能エネルギーに対する規制緩和も、事業者の淘汰(とうた)に追い打ちをかけているという。
倒産企業の内訳を負債別にみると、最多だったのは「1億円以上5億円未満」の30社。「1000万円以上5000万円未満」(23社)、「5000万円以上1億円未満」(22社)――と続いた。10億円以上の負債を抱えた企業も6社存在した。
原因別では、「販売不振」が42社でトップ。「事業上の失敗」(13社)、「既往のしわ寄せ」(9社)――なども多かった。
17年最大の倒産は福岡県の「ZEN POWER」で、負債総額は約52億円。国内外に太陽光発電モジュールを販売しており、14年12月期には約74億円の売上高があった。しかし、大口取引先の独企業に不良債権が発生した影響で資金繰りが急激に悪化し、4月に福岡地裁から破産開始決定を受けた。
東京商工リサーチは「主業が別にある企業が業容拡大を求めて参入したものの、ノウハウ不足や安易な事業計画で経営が立ち行かなくなるケースが目立つ」と指摘。
「太陽光関連事業者は、技術革新や工法の最適化などで市場ニーズに合った単価で製品・サービスを提供できるかが問われている。これに対応できない事業者の淘汰(とうた)は、今後も避けられないだろう」とし、18年も倒産数が高水準で推移すると予測している。
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