ペーパーレスによる業務効率化は「神話」なのか:成功のポイントとは(1/4 ページ)
多くの企業で「ペーパーレス化」や「文書の電子保存」が推進されていますが、課題も多くあります。業務のペーパーレス化を成功させるポイントを解説します。
2016年に続き17年も電子帳簿保存法が改正され、紙書類を電子保存する方法に関する規制緩和が実施されました。これを受け、いま多くの企業で「ペーパーレス化」や「文書の電子保存」に関する取り組みが推進されていますが、業務をペーパーレス化する課題も多くあります。ペーパーレス化によりさまざまなメリットを享受できる一方、紙文書を前提としたプロセスや紙文書での作業に慣れている場合はペーパーレスがなかなか進まず、かえって業務の混乱を招くこともあります。そこで、本記事では業務のペーパーレス化を成功させるポイントについて解説していきます。
なぜペーパーレスにするのか
まず、企業はなぜペーパーレスに取り組むのか、その理由から整理してみたいと思います。ペーパーレス化に取り組む理由は各企業によってさまざまですが、一般的には以下の3つを目的として取り組む企業が多いようです。
・作業工数やコストの削減
ビジネスで用いる文書のほとんどはその内容を自分以外の相手と共有し、正確に伝えることが目的です。そのため、紙と筆記具さえあれば簡単に意図した内容を記述した文書を作成することが可能で、すぐさま相手に渡すことができ、見る人もすぐに確認できることが紙文書のメリットです。「作成」「送付」「確認」、そして証跡として文書を「保存」する4つのプロセスが同一オフィス内、あるいは近隣地域で行われる場合、共通文書による業務は非常に効率的に回ります。
一方、相手とロケーションが少しでも離れてしまうと、物理的に相手に文書を届ける必要があるため、「送付」のプロセスに工数とコストが掛かるようになります。また、文書の数が多くなるにつれ、文書の「作成」「確認」「保存」プロセスのコストも増大します。印刷の工数、チェックの工数、ファイリングの工数が膨大になったり、文書管理や保管のための巨大なスペースが必要になったり、その文書を後で探す際にも多くの労力が必要になります。
文書を電子化することで、印刷は不要となり、送信はほぼリアルタイムで行うことが可能なため、関連するコミュニケーションも圧倒的に早くなります。また、相手が確認する作業もデータとして受信できるため、一覧からすぐに文書の内容を確認したり、複数の文書を比較したり、システムに直接データを連携して入力工数を削減したりすることが可能で、保管場所も小さくて済みます。ペーパーレスにすることで、こうした工数やコストを大きく削減することが可能です。
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