ペーパーレスによる業務効率化は「神話」なのか:成功のポイントとは(2/4 ページ)
多くの企業で「ペーパーレス化」や「文書の電子保存」が推進されていますが、課題も多くあります。業務のペーパーレス化を成功させるポイントを解説します。
・業務のスピードアップ
工数が減ることはすなわち業務のスピードアップも実現します。また、工数が減ったことによる時間短縮だけでなく、同じ処理でも紙文書では時間がかかっていた作業も効率化し、品質向上などの付加価値が加わり、業務はさらに速くなります。
例えば、ビジネスがグローバル化した今、国外の取引先と日本語以外の言語で文書取引を行うケースもあります。こうした状況では、相手からの文書の翻訳などの「確認」作業に時間がかかりますが、紙文書ではなくデータで受け取ることで自動翻訳サービスなどを活用しながら効率的に内容の確認を進めることができるでしょう。
また、文書がデータ化されている場合は、紙文書では出来なかったスペルチェックや、内容を自動的にチェックすることもできます。紙文書では人が行うしかなかった作業をシステムやAI(人工知能)に置き換えることが可能となります。これらは単純なマニュアル作業の削減ではなく、品質向上やエラーの削減、処理の正確性につながり、結果としてムダがなくなるため、その業務以外の関連する業務においてもスピードアップすることにつながります。
・多様な働き方を支える基盤作り
近年では「働き方改革」というキーワードでペーパーレスに取り組む企業が増えています。紙の文書を扱う業務の場合は、その紙文書が物理的にあるオフィスでの作業が必須条件となりますが、電子文書の場合は離れた場所からでも簡単にアクセスする仕組みを作ることが可能です。職場以外のリモートオフィスや自宅でも仕事ができるテレワークの必要条件は文書の電子化といえるでしょう。
また、仕事の進め方、つまり社内外とのコラボレーションも文書の電子化により変わってきます。同じ文書の同時共有や同時作業などは紙文書では難しかった点で、これらができるようになると1つの成果物を複数の人間で作り上げていく作業が簡単になります。
例えば、今では当たり前のように業務で使われているWord文書のコメント機能や編集履歴の機能、Excelの共有機能(同時編集機能)はまさに電子文書により働き方が変わった例で、このようなツールがなかった時代の働き方と全く違うことは、それを知らない世代の方でも想像に難くないでしょう。
文書の共有や同時作業ができる電子文書、ペーパーレス化は、こうした紙の文書で前提としたプロセスを大きく変えることができます。
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