日立の家電、“省エネ”前面アピールやめた理由:もはや「当然」(1/2 ページ)
日立アプライアンスが、新コンセプトに基づいた家電を発表。うち2製品はコネクテッド家電で、スマホアプリで操作できる。多様化する顧客ニーズの変化に対応する狙い。
日立グループの家電メーカー、日立アプライアンスは2010年から、省エネ性を前面に押し出したコンセプト「日立はエコに足し算」を掲げ、アイドルグループ「嵐」を起用したテレビCMなどを展開してきた。だが2月1日、8年間親しんできたこのコンセプトを捨てた。なぜなのか。
新コンセプトは「ひとりひとりに寄り添い、暮らしをデザインする」。IoT(モノのインターネット)の技術を活用した「コネクテッド(ネットにつながる)家電」の販売を強化する方針だ。
徳永俊昭社長は「旧コンセプトは現代の消費形態の多様化にそぐわなくなった。今後は省エネ性は当然の機能とし、テクノロジーを駆使して付加価値を高めた製品を出していく」と説明する。
「家電は基本的に長く使うもの。コネクテッド技術を搭載すれば、加齢と共にユーザーのライフスタイルが変わっても、ソフトウェアをアップデートするだけで使い勝手を向上できる点を魅力に感じた」(徳永社長)という。
同日開催された会見では、新コンセプトの第1弾として、スマートフォンアプリで遠隔操作できるロボットクリーナー「minimaru」と、アプリ上で選択したメニューに応じて火加減を調整するIH調理器「火加減マイスター」――の2機種を発表。
徳永社長は「新製品は顧客の生活課題を解決できるものをそろえた」と自信を見せる。
掃除ロボ「minimaru」は家庭の心強い味方
「minimaru」は自動運転に対応し、アプリで掃除の開始時間・掃除モード・掃除コースを設定できる点が特徴。外出中に家を掃除してもらい、帰宅後は快適に過ごす――といった用途を想定。手動モードに切り替えてスマホをリモコン代わりにし、細かな操作を行うことも可能だ。
椅子の脚を検知し、重点的に掃除する「脚周り走行」、ごみが多い場所を自動で検知し、そのエリアを繰り返し掃除する「ごみハンター走行」などの機能を備える。ユーザーの在宅中は運転音を抑え、時間をかけて丁寧に掃除する「マナーコース」も搭載する。
ターゲットは、仕事などで家事の時間が取れない共働き世帯。実売予想価格は約12万円で、月間4000台程度の販売を見込む。2月下旬発売予定。サイズは250(全長)×250(全幅)×92(全長)ミリ。
米Amazon.comのスマートスピーカー「Amazon Echo」との接続も可能。不具合が生じた際に、スピーカーに口頭で問題点を聞くとエラー番号を教えてくれるという。
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