アルファード/ヴェルファイアの深い悩み:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)
トヨタの中でも屈指の「売れるクルマ」であるアルファード/ヴェルファイアがマイナーチェンジした。その中身はどうなっているのか。実際に乗ってみるとさまざまなことが浮き彫りになってきた。
次世代に求められるもの
しかし、長期的に見たとき、例えばアルファード/ヴェルファイアがプラグインハイブリッド化、あるいは電気自動車化されてバッテリーを大量搭載しようとか、燃料電池を搭載したいと言った場合、もう床下にはまったくスペースがない。
ワンボックス形状のミニバンは、モノスペースでパッケージ効率が良いことが高く評価され、1980年代からポストセダンの新形態として期待されてきた。バスやトラックの例を見るまでもなく、道路を走る車両のパッケージ効率は箱こそが一番である。しかし、そろそろそのスペース効率の高さが逆にネックになりつつある。無駄がなさすぎて、追加機器の置き場がないのだ。その面でもやはり床板を上げてスペースを増大したい。アルファード/ヴェルファイアの次世代のデビューが何年なのかまだはっきりとはしないが、恐らく次世代の現役中に内燃機関だけで走るクルマは激減するだろう。モーターを併せ持つのが当たり前の時代になれば、バッテリー搭載量が今のハイブリッドグレードよりもっと求められる。
プレミアムなミニバンというその位置付けを考えれば、そうそう時代遅れも許されまい。今アルファード・ヴェルファイアは変革を目前にしていると考えられる。次世代ミニバンの夜明けは近づいている。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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