生活習慣も原因? アプリで花粉症予防へ、その機能とは:労働生産性との関連も分析
花粉症の複合的要因を分析し、予防につなげるアプリ「アレルサーチ」が2月1日にリリースされた。大学と共同開発した企業に、開発の狙いや機能について聞いた。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみ……。2月に入り、花粉症に悩む人が増える季節になった。つらい症状を抑えるだけでなく、予防策が分かれば楽になるのに……。その実現を目指すアプリが2月1日にリリースされた。
医療機関向けアプリ開発などを手掛けるメディカルローグが順天堂大学と共同開発したiPhone向けアプリ「アレルサーチ」だ。花粉の量だけでなく、生活習慣や住環境などのデータから花粉症の複合的要因を分析し、予防につなげる。花粉症の研究・調査を目的としたアプリはこれまでにないという。
どのように花粉症の要因を分析するのか。開発の狙いや機能について、メディカルローグに聞いた。
詳細なアンケートで生活状況を把握
花粉症の症状が出る原因は、花粉の量だけではない。PM2.5などの大気汚染物質や生活習慣など多岐にわたると考えられているが、何がどの程度影響を及ぼすのかは分かっていない。花粉症の症状に関するデータを集め、予防に活用することがアプリの目的だ。
機能の1つが「みんなの花粉症マップ」。どの地域にどの程度の症状の人がいるかが一目で分かる、リアルタイムの地図を表示する機能だ。アプリを使っている人に、症状が出たときの目や鼻の状況などを質問し、その結果を地図に反映させる。周囲の人の症状はどうなのか、周囲と比べて自分の症状はひどいのか、といった情報が視覚的に分かる。
このような機能を支えているのが、詳細なアンケートだ。アプリに登録して研究参加に同意すると、生活環境や習慣、日ごろの花粉症対策などについて質問される。必須項目だけでも約50問。その内容は「自宅の床はフローリングかカーペットか」「ペットを飼っているか」「空気清浄機を使っているか」「ヨーグルトを食べているか」「どのようなコンタクトレンズを使っているか」などがあり、細かい。眼科や耳鼻科の医師が「知りたい」と思うことを反映させた。
目の写真を撮影し、その画像を分析して結膜炎の症状をチェックする機能もある。目の赤みの度合いを数値化し、花粉症の症状が出ているかチェックすることができる。さまざまな症状のデータを集めることによって、いずれは重症化の兆候などを知らせることができるようにしたいという。
「アレルギー性結膜炎で来院する人は、すでに重症になっているケースが多いそうです。重症化の兆候が分かれば、症状がひどくなる前に病院に行くことができます」(担当者)
労働生産性との関連も分析
自覚症状のアンケートや目の赤みのデータをもとに、その時点の「花粉症レベル」を数値化する機能もあり、自分の症状の度合いが分かる。「症状が重度の人がどのような生活環境にいるのか、バックグラウンドまで把握する」(担当者)ことにも役立てる。
分析が進めば、労働生産性やQOL(Quality of Life、生活の質)を低下させないための予防策の提案も視野に入る。どのような環境において、花粉症が原因で集中力が低下するか、といったデータを集めることができれば、職場環境改善の具体策を提案できる。
「労働生産性が落ちることによる経済損失は大きい。この研究を社会に還元できるようにしたいと考えています」(担当者)
意識もしていない行動が、花粉症を悪化させているかもしれない。花粉症にしっかりと向き合い、症状を抑えたい人にとって、研究に参加する意義は大きそうだ。
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