花粉症商戦本格化 トレンドは“やさしさ”:女性と子どもの不安解消が鍵
今年も花粉症商戦が盛り上がってきた。年々拡大する花粉症マーケットを取り込むために各社は知恵を絞っている。
日本気象協会の花粉飛散予測によると、スギ花粉のピークは2月下旬から3月、ヒノキ花粉のピークは4月だという。花粉症に悩まされる人にとってはつらい季節が近づいている。
インターネット調査会社マクロミルは今年の1月に「全国の2万人に対し花粉症の症状の有無を尋ねたところ、症状があると回答した人は全体の40%」「スギ花粉対策の平均予算は4730円」という調査結果を発表した。この巨大な市場を狙った花粉症商戦が今年も盛り上がってきた。
「花粉症関連商品のニーズは年々高まっています。今年は特に力を入れて売り場を展開していますよ」
こう語るのは大手総合スーパー幹部のD氏だ。近年、各社は花粉症関連グッズのラインアップを年々充実させているという。総合スーパーの強みを生かしてマスクや防護メガネだけでなく、花粉がつきにくいコートや症状の緩和が期待できる飴などをまとめて並べている。「仕事の都合でマスクを着用できない」といったような、多様化するニーズに対応するのが狙いだ。
大手ドラッグストアは専門知識を生かした提案を行っている。ココカラファインの担当者は「意外と知られていないのですが、本当に症状がつらいときや目がかゆいときには、内服薬を使用しながら目薬を使うこともできますし、鼻水が止まらないときには点鼻薬を併用することもできます。関連商品をまとめたコーナーをつくり、お客様の症状が軽くなるお手伝いをします」と説明する。
ネットショッピングが普及したことで、リアルの店舗はより独自性を打ち出すことが求められている。小売り各社の対応にはこういった背景があるのだろう。
女性と子ども向けに商機あり
ココカラファインの担当者によると、花粉関連商品では天然系で肌にもやさしい商品が特に人気があるという。代表格が資生堂薬品の花粉防御剤「イハダ アレルスクリーン N」と「イハダ アレスクリーンジェル N」だ。顔にスプレーしたり、塗ったりするだけで花粉とPM2.5が防げる利便性と、肌への負担の少なさが女性を中心に支持されている。
資生堂薬品の広報担当者によると、アレルスクリーンシリーズは15年に発売してから好調が続いていて、17年のシーズンは売り上げが前年比108%を記録したという。
子ども向けの花粉症対策商品では“安心”の要素が支持されている。あかちゃん本舗は17年に初めて花粉がつきにくい花粉対策ジャケットを発売した。好調だったので、今年も発売継続を決めた。子どもが花粉症になってしまったが、薬を飲ませることに不安を感じる親から支持されているという。
東京都の調査では0〜14歳におけるスギ花粉症の推定有病率は増加を続け、16年度には約40%に達した。乳幼児の食物アレルギーが増加した結果、花粉症を併発しているのではないかと、東京都は分析する。子ども向けの花粉症対策グッズの需要は今後も高まるだろうが、いかに親の不安を取り除くかが鍵となりそうだ。
花粉症の症状を緩和するグッズや医薬品は数多く出ているが、必ずしも女性や子どものニーズを満たしているわけではなかった。“安心”と“やさしさ”を打ち出す商品が今後支持されるだろう。
関連記事
- 自己成長するAIは「医療機器」として安全なのか
多くの業界でAIによる従来業務の置き換えが検討されているが、医療はこうした動きが激しい業界の1つである。特に診断の領域では、AIが医師に圧勝するケースが続出しており、業務のAI化が一気に進みそうな状況となっている。業務のどの範囲までAI化を行い、人の責任の範囲をどこまで設定すべきなのか。医療分野における取り組みはあらゆる業界にとって参考となるだろう。 - テクノロジーで「命」守りたい “医療用ウェアラブル”続々登場
東京ビッグサイトで開催中の展示会「第4回 ウェアラブルEXPO」では、医師・消防士のサポートや、深刻な容体にある患者の救命が目的のものが多数出展されていた。健康管理や業務サポートが主流だったウェアラブル市場で、「医療用」がトレンドになりつつあるようだ。 - “着る”端末で健康マネジメント 提案幅広く
「ウェアラブルEXPO」でミツフジが出展したウェアラブル端末「hamon」。着用して生体情報を読み取る。健康管理が課題となる建設現場などに提案する。 - “脱皮”を阻害しゴキブリ殺す 中部大学が開発
中部大学の長谷川浩一准教授らは、脱皮を阻害してゴキブリを殺す技術を開発した。新しいゴキブリ撃退法のメリットとは。 - 人の体臭を測定できるデバイス「クンクンボディ」登場
コニカミノルタが、人の体臭を測定できるデバイス「Kunkun body(クンクンボディ)」を発売した。汗臭・加齢臭・ミドル脂臭の3大体臭を測定し、専用アプリ上に数値とアドバイスを表示する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.