後発の「ゆで太郎」がそば業界首位になった理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のそばを提供して急激に店舗数を増やしているのがゆで太郎だ。今回は、後発ながら富士そばや小諸そばを追い抜く原動力となった同社のこだわりと戦略を紹介する。
「粉から自家製麺 江戸切りそば ゆで太郎」チェーンは、1994年に都内で第1号店を出店して以来、後発ながらそば業界首位の197店(2017年、以下同)を擁するまでに成長した。17年の店頭売り上げは105億円と、初めて100億円を超えた。
ゆで太郎は本格的な「町のそば専門店」の味をセルフサービスで提供している。多くの店舗でゆっくり座って食べることができるコンセプトが支持され、同業態の代表的なブランドである「名代 富士そば」(129店)、「小諸そば」(83店)をも店舗数で抜き去り、独走態勢に入っている。
そば店は健康志向が強まり高齢化が進む現代の日本では将来性がある業態だ。しかも、ゆで太郎の店舗では町のそば専門店のレシピにあるとおりに、毎日そばを打ち、つゆを作り、天ぷらを揚げている。そうしてできた商品を立ち食いそばの値段で楽しめるのだ。そこには安っぽい従来の立ち食いそばのイメージはない。ゆで太郎は立ち食いそば店から町のそば専門店に回帰しているといえる。
顧客単価は450〜460円(税込み、以下同)。最も安い320円のもりそばとかけそばが一番売れる。暑くなるともりそばが売れて、寒くなるとかけそばが売れる。そばとミニ丼とのセット(500円)は曜日で内容が替わるが、火曜日のミニかつ丼セットがほかの曜日のものより売れる。
「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」の本物のそばを、毎日でも通える手軽な値段で提供するシステムづくりに邁進する、ゆで太郎の戦略はどのようなものだろうか。
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