後発の「ゆで太郎」がそば業界首位になった理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のそばを提供して急激に店舗数を増やしているのがゆで太郎だ。今回は、後発ながら富士そばや小諸そばを追い抜く原動力となった同社のこだわりと戦略を紹介する。
急成長の原動力はほっかほっか亭
ゆで太郎はそば業界で近年、際だって店舗数を伸ばしてきた。
08年にはわずか20店であったのが、10年後には約10倍の200店近くにまでなっている。08年時点での富士そばは79店、小諸そば74店であり、店舗数では3.5〜4倍もの規模があった。
しかもFC(フランチャイズ)店の増加によって伸びている。ゆで太郎は元々、そば職人だった信越食品(東京都・大田区)の水信春夫社長が創業。04年にはゆで太郎をFC展開する目的で、新たにゆで太郎システム(東京都・品川区)が設立されている。
つまり、「ゆで太郎」には信越食品傘下の店とゆで太郎システム傘下の店がある。それぞれの店舗数は、信越食品41店、ゆで太郎システム156店となっている。そしてFCビジネス本部のゆで太郎システムが成長エンジンなのである。156店の内訳は、本部直営82店、FC74店となっている。
ゆで太郎システムの池田智昭社長は、持ち帰り弁当のパイオニアであるほっかほっか亭スーパーバイザー、取締役FC本部長などを経て、同社を設立したFCビジネスのプロだ。他にも、ほっかほっか亭の元社員が入社して要職に就いており、FCのプロ集団としてスタートしている。
水信氏はかつてそば店開業の夢を実現するために、ほっかほっか亭のFC店を運営して資金を貯めていた。池田氏は水信氏の担当スーパーバイザーだったのだ。
ほっかほっか亭がプレナスに買収されるという予想外の出来事が起こり、池田氏は潮時だと察知して退職。フリーとなり次のビジネスを模索している時に、水信氏と久々に再会した。その際に、水信氏からゆで太郎店舗のオペレーションに悩んでいることを打ち明けられた。
そこで池田氏は1日店長としてゆで太郎の店舗で働いてみた。その結果、そば職人でなければできないと考えられてきた数々のスキルや作業手順をていねいにマニュアルに落とし込めば、FCビジネスとして成り立ち、必ず天下が取れると水信氏に提案した。そうして生まれたのがゆで太郎システムなのだ。
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