しまむら、新業態店で何を狙うのか:目玉は機能性マットレス
しまむらが寝具を中心に扱う新業態店をオープンさせることが明らかになった。質の高い睡眠を求める消費者のニーズをくみ取ることはできるだろうか。
衣料品大手のしまむらは3月13日、寝具を中心に扱う新業態店をオープンすることを明らかにした。店舗名は決まっていないが「しまむらのブランドを生かす。今年の4〜5月の開店を予定している」(同社広報)。寝具だけでなく、ソファーなどの家具も扱う予定だという。
「ファッションセンターしまむら」では布団カバーや枕などの寝具を扱っているが、売り場面積の関係から品ぞろえを増やすことは難しかった。広報担当者によると、睡眠の質を高めるマットレスを店舗で販売したところ大きな反響があったため、機能性寝具のニーズが高まっていると判断したという。
「しまむら」ブランドを最大限生かすため、新業態店では低価格を武器にする。既存店で扱っている寝具は引き続き同価格帯で提供し、目玉となる機能性マットレスも他店より手ごろな価格にする予定だという。
高まる機能性寝具のニーズ
2016年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」によると「睡眠で休養が十分にとれていない」と感じた人の割合は19.7%にのぼった。17年の流行語大賞に「睡眠負債」(睡眠不足が重なると健康に悪影響を与えるという意味)が取り上げられたことも追い風となっている。
寝具メーカーの西川産業で売れ筋の機能性寝具は、7万6000円(税別、以下同)のマットレスと2万5000円のオーダー枕だ。同社の機能性寝具を買い求める主要顧客は50〜70代だが、「20〜30代の若い層が増えている」(広報担当者)という。さらに、最近の購買行動として「お金を出してでも睡眠の質を高めたい層と、ネット通販やスーパーで手ごろな価格の機能性寝具を買い求める層の2極化が進んでいる」と指摘する。しまむらの新業態店はこのトレンドに沿ったものといえるだろう。
矢野経済研究所の調査によると、09年に4681億円だった「ベッドリネン・寝具」の市場規模は、16年には6796億円まで拡大した。同調査は市場拡大の背景として、ホテルや旅館業界が集客のために高級寝具を導入していることや、消費者の本物志向が強まっていることを挙げている。
しまむらの新規参入により機能性寝具を巡る競争はますます激化しそうだ。
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