「かつお節」使ったビール、その味は? 酒税法改正が後押し:ヤッホーが新商品
ヤッホーブルーイングが「かつお節」を使ったビールを発売。酒税法改正により「ビールの定義」が広がったことを追い風に、さまざまな原料を使ったビールを提案していく。
ヤッホーブルーイングは3月14日、かつお節を原料に使ったクラフトビール「SORRY UMAMI IPA」を国内で発売すると発表した。コンセプトは「革新的クラフトビール」で、日本の「和」を意識してかつお節を使った。2016年に米国輸出向けに開発した製品を、4月1日から国内でも販売する。
缶を開けると、フルーツのような華やかな香りが届く。飲んでみると、「かつお節使用」とはあるが、うまみ成分を引き出すために使われているため、頭に思い描いているようなかつお節の味はしない。飲み口はクリーンだがコクがある。アルコール度数は6.5%だ。
かつお節ビール発売の背景にあるのは、4月の酒税法改正によるビール定義の拡大だ。これまで「ビール」として売り出せる商品の原料は麦やホップなどに限られており、果物や野菜などを使った酒は「発泡酒」という区分になっていた。海外では「ビール」として売り出されているクラフトビールも、国内では発泡酒の扱いになっていたというわけだ。しかし改正後は使える原料が増え、これまで発泡酒として売り出されてきたクラフトビールをビールとして売り出せるようになる。かつお節を使った本商品もその1つだ。
ヤッホーの井手直行社長は「日本の消費者は、発泡酒に対して『節税ビール』『安くておいしくないビール』という悪いイメージを抱いている。しかし、発泡酒区分は日本特有の酒税法に縛られているだけで、世界では普通にビールと呼ばれている。さまざまな原料を使ったビールを法改正によって『ビールだよ』とようやく伝えられるようになったのは追い風。売り上げにもプラスの影響があるのではないかと思っている」と話す。
同社が目指すのは、クラフトビール市場におけるシェア確立だ。ビール市場は2兆円規模に上るが、年々右肩下がり。その中でクラフトビール市場は全体の1%ほどの230億円規模と小さいながらも、成長率は年間16%と高い。ヤッホーはさまざまな種類のクラフトビールを手がけることで市場自体を広げつつ、22年には「クラフトビール市場でシェア50%」を獲得することを狙う。
まず自社Webサイトと楽天市場で販売するほか、4月5日からは運営する飲食店「YONA YONA BEER WORKS」でも提供する。好評なら、コンビニやスーパーでの取り扱いに向けた増産も検討する。
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