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行列はもういらない――苦境「クリスピー・クリーム」、新社長の改革3年連続で最終赤字(1/3 ページ)

2006年に日本市場参入後、一大ブームを巻き起こした「クリスピー・クリーム・ドーナツ」。だが、当初の勢いを継続できず、業績は最終赤字が続いている。若月貴子社長が取材に応じ、苦戦の要因と今後の巻き返し戦略を語った。

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 1937年に米ノースカロライナ州で開業した老舗ドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ(KKD)」。高級路線を保ちつつ海外進出に注力し、現在は米国、カナダ、コロンビア、南アフリカなど27カ国で約1100店舗を展開している。

 日本市場には2006年に参入。1号店となる「新宿サザンテラス店」(渋谷区)のオープン当初は顧客が殺到し、連日長蛇の列ができる事態に。待ち時間は数時間に上り、テレビ局などのメディアがこぞって取材に訪れた。

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「クリスピー・クリーム・ドーナツ」有楽町イトシア店

 だが、ブームは長く続かなかった。新商品を相次いで打ち出したものの、参入当初の勢いを継続できず、売り上げはダウントレンドに。非上場のため開示情報は少ないが、官報公告によると15年3月期に最終赤字に転落。以後3期連続で最終赤字が続いている。

 店舗の大量閉店も余儀なくされ、ピーク時(14年度)の64店舗から、17年度は46店舗に減少。旗艦店としてにぎわった上陸の地・新宿サザンテラス店も、契約満了に伴って17年1月に閉店した。

昨春就任の若月社長が改革進める

 こうした悪循環に歯止めをかけるため奮闘しているのが、17年4月に日本法人の社長に就任した若月貴子氏だ。

 若月氏は3月14日開いた会見で、(1)18年度は首都圏中心に10〜20店舗を出店すること、(2)改装を終えた有楽町イトシア店(千代田区)、渋谷シネタワー店(渋谷区)を新たな旗艦店に据えること、(3)旗艦店限定の「朝食」など新メニューを打ち出すこと――などの新戦略を相次いで発表。

 接客方法をホスピタリティー重視のものに切り替えていることも明らかにし、「行列はもういらない。20〜30年後もお客さまに愛され、市場で生き残れる企業でありたい」(若月社長、以下同)と抱負を語った。

 社長就任以前から日本法人に在籍し、苦境を身をもって知る若月社長は、客足が伸びずに苦しんだ理由をどう捉えているのだろうか。新戦略にはどんな狙いがあるのだろうか。

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KKD日本法人の若月貴子社長
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