TENGAの新規事業 「性の悩み」を真面目に解決:国内外の医師を巻き込み事業化(1/3 ページ)
性生活を楽しむグッズを製造するTENGAが新規事業を立ち上げた。医師とともに男性の“妊活”アイテムを真面目に開発。新会社を設立して事業を軌道に乗せるまでの経緯とは?
特集:新しいビジネスの種はどこにある?
既存の事業が成熟期を迎えた企業がさらにビジネスを拡大するためには、ざっくり言って、海外など新しいマーケットを開拓するか、これまでとはまるで異なる新規事業を立ち上げるかの2つだ。実際、「新規事業開発室」といった名称の部署がある会社は少なくないが、必ずしも成果が出ているとは言い難い。それはなぜだろうか。本特集では新規事業が成功するための秘けつを探る。
「TENGA」といえば男性が性生活を楽しむためのグッズを発売しているメーカーだと認知している人も多いだろう。だが、医療分野の新会社を立ち上げていることは意外と知られていない。
TENGAは2016年11月にグループ会社のTENGAヘルスケア(東京都・港区)を設立した。新会社のミッションは「性を楽しむこと」ではなく「性にまつわる諸問題を解決すること」。15年に準備を本格的に始めてからわずか1年でスタートできた背景にあったのは、担当者の真摯(しんし)な思いと時間をかけて構築した専門家との信頼関係だった。
TENGAヘルスケアが発売しているのは男性の“妊活”アイテムとなる「TENGA MEN'S LOUPE(テンガメンズルーペ)」と腟内射精障害に悩む男性のための「MEN'S TRAINING CUP(メンズトレーニングカップ)」の2種類だ。
あるカップルが不妊に悩んでいる。もしかしたら、原因は男性側にあるかもしれない。そんなとき、テンガメンズルーペを使えば男性が精子の状態を気軽に確認できるようになる。参考価格は1500円(税抜、以下同)で2016年5年に発売されてから累計で約6万個を出荷した。
腟内射精障害とは、マスターベーションでは射精ができるのだがセックスで腟内に射精ができない症状を指す。国内の潜在患者数は推計で約270万人と言われており男性不妊症の原因にもなっている。メンズトレーニングカップを使うことで男性機能のトレーニングが可能となる。こちらの参考価格は1000円。17年11月に発売したばかりで、現在は一部医療機関やEC(インターネット通販)サイトで発売している。
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