家電EC「楽天ビック」始動 “Webと実店舗の融合”でAmazon対抗:ビッグデータ生かした商品開発も
楽天とビックカメラがECサービス「楽天ビック」をスタート。スマートフォンやテレビなど計約60万商品をそろえる。両社のオンライン・オフラインの店舗運営ノウハウを融合することで、顧客満足度の高いサービスを提供する狙い。
楽天とビックカメラは4月11日、家電領域のEC(インターネット通販)サービス「楽天ビック」をスタートした。同名のECサイトを「楽天市場」にオープン済みで、スマートフォン、テレビ、PC、カメラ、オーディオ機器――など計約60万商品をそろえる。女性や若年層に向けた独自商品の展開も予定している。
楽天の三木谷浩史社長は「“家電の雄”ビックカメラと、約9500万人の顧客基盤を持つ楽天の強みを組み合わせたサービスがついに始まる。今後はビッグデータを生かした商品開発などにも手を広げたい」と期待を語る。
“オンラインとオフラインの連携”がテーマ
楽天ビックは“オンラインとオフラインの連携”をテーマに掲げ、EC・実店舗の運営ノウハウを融合した点が特徴。ビックカメラの調達力を生かして幅広い商品を仕入れ、強固な顧客基盤を持つ「楽天市場」上で販売することで、Amazon.co.jpなどの競合に対抗する構えだ。
具体的には、楽天ビック上でビックカメラ実店舗(45店)の在庫確認ができる機能を実装。ビックカメラ実店舗(47店)で「楽天ポイントカード」を提示した顧客に「楽天スーパーポイント」を付与するサービスも同日から始めている。
ポイント付与率は代金の5%。楽天は実店舗での購買データを獲得し、さらなるマーケティングに生かす。
今後は同サイトで購入した商品をビックカメラ実店舗で受け取れるサービスや、「楽天スーパーポイント」を使用した支払いにも対応する予定。
ユーザーの利便性を高めるため、家電購入時に設置工事を依頼できるWebサイトも構築中。時期は未定だが、東京23区内で午後3時までに購入したユーザー限定で当日配送サービスも始める計画だ。
物流面の連携も進め、今秋をめどにビックカメラ商品を楽天の物流拠点から配送する仕組みも導入する方針。
顧客の不満を解消、相互送客で新規開拓も
楽天が事前に顧客調査を行った結果、ECでの家電購入を断念した経験がある顧客は全体の80%に上ったという。理由は「実物を見たい」「配送・設置に不安がある」「価格が高い」「店員による説明が受けられない」――などが挙がったとしている。
楽天が提携先にビックカメラを選んだ理由は、こうした不安を解消する狙いもあるという。楽天の矢澤俊介執行役員は「ビックカメラはアフターサービスや顧客対応に定評がある。『楽天ビック』ユーザーが実店舗を訪れた際に、質の高いフォローが受けられると判断した」と説明する。
ビックカメラの宮嶋宏幸社長は「楽天ビックは“実物を見てからネットで買いたい”という顧客ニーズにも応えられる。当社は新規獲得が課題だが、女性ユーザーが多い楽天市場との相互送客によって女性客を獲得したい」と話す。
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