「民泊がない地域は価値を下げる」 星野リゾート代表:地方活性化のファクターに
星野リゾートの星野佳路代表は、民泊をはじめとするシェアリングエコノミーについて、地方経済の活性化にとって重要な要素だと強調した。
「地方こそシェアリングエコノミーを推進すべき」。星野リゾートの星野佳路代表は4月11日に都内で開かれた定例プレス発表会の場で、地方経済の活性化において民泊サービスは重要な要素だと考えを示した。
海外では民泊が普及し、多くの観光客がサービスを当たり前のように利用する中、日本は現状で後れをとっている。「ホテルがあるのと同じように民泊も観光客にとってスタンダードな商品メニューになりつつある。民泊がない地域は価値を下げるし、それが日本全体の観光産業の競争力を落とすことになる」と星野代表は指摘する。
宿泊施設の提供側にとっての民泊の利点もある。それは施設の提供者が利用者を選択、評価できるということだ。ホテルや旅館であれば、基本的に顧客を選ぶことはできない。加えて、その施設の良しあしを評価するのも利用者である。彼らが下した評価がホテルのレビューサイトなどに載り、それが施設の評判を左右する。一方で民泊の場合、施設側が「部屋を清潔に使ったかどうか」「適切なコミュニケーションが取れたかどうか」などと利用者を評価するとともに、評価ポイントの低い利用者に対しては宿泊を断ることもできる。
「今までの(ホテル業界の)概念とは劇的な違いだ。また、利用者は自身の評価を上げようとするので、5年後、10年後の民泊サービスの利用者はもっと行儀が良くなるだろう」(星野代表)
星野リゾートは今のところ、民泊を成長事業としては位置付けていないというが、同社が管理する軽井沢の別荘の民泊活用を検討していることや、北海道で運営する施設「リゾナーレトマム」内のマンションでは民泊を始めているオーナーもいるため、「今後はしっかりと取り組み、管理していく」(星野代表)方針だ。
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