星野リゾート、ブランド作りの条件とは?:トップインタビュー(1/4 ページ)
大阪・新今宮エリアに新たな都市観光ホテルの開業を目指すなど、その取り組みが注目を集めている星野リゾート。同社の経営トップである星野佳路代表に事業展望などを聞いた。
ホテル・旅館運営の星野リゾートが好調だ。2001年にリゾートや旅館の運営事業をスタートしてから右肩上がりで成長、2016年時点で取り扱い高は460億円、運営施設数は国内外37拠点となった。人々の間にも同社施設の認知度は高まっていて、今ではファミリーやシニア夫婦、学生グループなど幅広い層の顧客が訪れている。その数は年間150万人に上る。
一方で、東京のど真ん中に日本旅館をオープンしたり、大阪・新今宮エリアに新たな都市観光ホテルの開業プロジェクトを発表したりするなど、同社の取り組みには常に注目が集まっている。
その星野リゾートの経営を指揮する星野佳路代表に今後のビジネス展望や取り組みなどを聞いた。
ブランド作りの条件
――旭川、そして新今宮と、都市観光ホテルに関する動きが目立ちます。都市部のホテルという点では昨年開業した「星のや 東京」も当てはまるのですが、これから手掛ける都市型のホテルは新たに別ブランドを立ち上げるとのこと。どのようにすみ分けていくのでしょうか。
星のや東京は、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、パリを夢見て、世界の大都市に通用する日本旅館とはどういうものか、それを証明するためのホテルとして位置付けています。その都市というのは日本の地方都市を想定していません。
逆に、私たちが都市観光ホテルというときには、国内地方都市の立地を想定しています。旭川グランドホテルのように既存案件もあれば、新今宮のように新築の案件もあるので、そうしたものを包含した新たなブランドを考えていかねばなりません。
星野リゾートは今、決して都市観光ホテルだけに注力しているわけではありません。実は温泉旅館ブランドの「界」はもっと熱心に取り組んでいます。当社にとっては珍しく数値目標を掲げていて、現在14軒の施設を30軒に増やすことを目指しています。
――30軒という目標を達成する時期は?
界を世界に広くマーケティングするには30軒くらい必要だと思っています。1施設当たりの客室数が40室とすると、30軒で1200室。これだけの規模であれば世界にもしっかり情報発信できるし、パワーにもなります。そう遠くない先に実現したいです。既に九州で3軒ほど案件が決まっていて、残り10軒と、目標達成が見えています。
――都市観光ホテルの新ブランドの中身についてはこれからということですが、星野リゾートのブランド作りにおける条件は何ですか? 直近だと2011年の界ブランドがありますが。
第一は日本人が読めることです。以前、「蓬莱(ほうらい)」という温泉旅館を運営していましたが、漢字で書いても若い人はなかなか読めませんでした。「白銀屋(しろがねや)」という旅館も「はくぎんや」と読まれてしまいました。日本の若い人たちが温泉旅館に親しんでもらうためには読みやすい漢字であることが大事です。
次に外国人でも発音できることです。白金屋は発音しにくいし、長すぎます。最後に商標が取れることです。
それ以外、あまりこだわっていません。ブランドを作るときには、日本人が読めて、外国人も発音しやすくて、世界の旅行エージェントが覚えてくれる、それが条件です。「リゾナーレ」は私が作ったブランドではないので、この条件からいくといま一つ。短いフレーズというのが大切ですね。
――そのほか新しいブランドを作る上で心掛けていることは?
特にないです。この条件を満たすだけで精一杯です。あまりブランドの意味合いに思いを込めたりしてもうまくいかないと思っています。
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