星野リゾートが新今宮にホテル開業する理由:2022年の開業目指す
星野リゾートが2022年に開業を予定する新今宮駅前の都市観光ホテルについて、星野代表がこの場所を選んだ理由について説明した。
星野リゾートは4月24日に大阪市内で記者説明会を開催、2022年に新今宮駅前に開業予定の都市観光ホテルについて開発計画の状況などを発表した。「新今宮エリアはディープな体験、大阪の人情を体験できる場所だからこそ選んだ」と星野佳路代表は力を込めた。(関連記事:星野リゾート、なぜ都市観光ホテルに注力?)
新ホテルは敷地面積が1万3909平方メートルで、客室数608室、客室サイズは30平方メートル以上の予定。レストランやカフェも併設する。宿泊価格は未定。大阪市が実施した開発事業者募集プロポーザルに星野リゾートが応募し、計画案が採用された。土地取得額は約18億円。
新今宮エリアは大阪の観光名所である「通天閣」や、高層ビル「あべのハルカス」の近く。一方で、日雇い労働者の街として知られる西成区の「あいりん地区」が隣接する治安の不安定な地域であるため、星野リゾートの計画を疑問視する声も少なくない。実際、大阪市のプロポーザルに対する応募も星野リゾート1社だけだった。これに対し、星野代表は「既に人が集まっているような場所では、新しい発想、思い切ったホテルを作るチャンスはない。どの都市にも課題を持ったエリアはある。そこにこそ再開発する使命がある」と意気込む。
新今宮エリアを選んだ理由について、星野代表は「ロケーションの良さ」を挙げる。1つ目は新大阪駅まで約25分、関西国際空港まで約38分と交通の便が良い点、2つ目はテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」など主だった観光スポットへのアクセスが良い点、3つ目は大阪の地域文化を感じることができる点である。
「(新今宮エリアは)街の空間、デザイン、看板、人のどれをとっても、まさに大阪にいるということを自覚するディープな文化体験ができる。こうした場所は観光客にとって魅力的だ。これは東京や(同社の本社がある)長野では感じられない」(星野代表)
新ホテルは、JR新今宮駅のホームからホテル敷地内に設ける緑地「みやぐりん(仮称)」を眺望できるのが特徴で、そこに四季の変化を感じる風景を作ることを目指している。新今宮駅を降りて、ホテルの中に入らなくても、駅のホームから、あるいは電車内からでも見えるという立地を最大限に生かすという。「癒しを得られるような風景を作りたい。(新今宮駅の)通過客がどういった印象を持つかを重視する。それによってこのエリアのイメージが変わるだろう」と星野代表は述べた。
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