ホンダのロボット芝刈り機は、日本でも普及するのか:あの会社のこの商品(3/4 ページ)
欧州でロボット芝刈機が普及しているが、ホンダもロボット芝刈機「Miimo(ミーモ)」を投入した。あまり聞き慣れないロボット芝刈り機とは、どんなモノなのか。また日本でも発売されたが、国内市場で普及するのだろうか。
ユーザーからの要望には気候風土、国柄、国民性、経済事情が表れる
競合他社の中には欧州の一部地域でのみ販売しているところもあるが、ホンダはMiimoを欧州全域で発売する。
欧州全域で発売したのは、すでに販売チャネルができていたことのほかに、「全域で売らないと、地域特有の要望が挙がってこない」(羽深さん)ということもあった。国ごとに異なる仕様はつくれないので、各国からさまざまな声を聞きモデルチェンンジ時にどう反映するのかを検討する必要があった。
実際のところ、Miimoに対する要望には各国ならではの事情が如実に反映されているという。例えば山深いスイスやドイツ南部だと、傾斜地で滑らないことが求められ、北欧であれば寒いときにも使えるモノを、といった具合。また、ロボット芝刈機市場に多くのメーカーが参入しているイタリアでは、珍しいセンサーやスイッチ類の有無が問われる。欧州は気候風土だけでなく国柄、国民性、経済事情が国ごとに異なるので、要望は千差万別。全域で売る商品の開発・販売はとにかく難しい。
これだけでなく、開発時にも行っていたユーザーの庭の観察を発売後も継続。羽深さんはMiimo発売後に赴任した欧州で4年間、毎日のようにユーザーの庭を細かく観察し、改良点を探り続けた。
こうしたことを踏まえホンダは、2015年と16年の2回、Miimoのモデルチェンジを実施した。
15年のモデルチェンジは、12年発売モデルに盛り込めなかった機能の追加や、改良の必要があるところの変更などを実施。これに伴いECU(電子制御ユニット)を別物に交換するなど、外見は以前と同じでも中身が完全に異なるものになった。
また、芝刈機の命ともいえる刃も変更した。刃を変更したのは、12年発売モデルは芝が刈れないことがあったため。歩行式エンジン芝刈機と同じような刃を採用したが、刃が小さく騒音低減のため回転数を抑えたところ、芝の種類によっては刈れなかった。そこで、刃先を指で触れると切れてしまうほど鋭いモノに変更した。
16年のモデルチェンジは、法規制への対応を目的に実施。例えば、刃が何かにぶつかってかけらが飛ばないよう、割れにくくするなどした。
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