連載
XC40「ボルボよお前もか」と思った日:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
ボルボからコンパクトSUV、XC40が登場した。何と言っても注目すべきなのは、ボルボの歴史上初めて「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したクルマなのである。実際に乗ってみてその出来栄えを試したところ……。
第2の新シャシー
筆者は、もしかするとボルボの規模では、リソースの問題でブランニューシャシーをいきなり完璧に仕上げてくるのは難しいのではないかという疑いを持ってXC40のデビューを見ていた。
というのも、ボディサイズ的に90シリーズとかけ離れている40シリーズではSPAの「スケーラブル」の幅に収まらず、このクラス専用に新しいシャシーが開発されたからだ。ボルボでは、このシャシーをコンパクト・モジュラー・アーキテクチャ(CMA)と呼ぶ。
常識的に考えれば、このCMAはV40にも展開される。かつてフォード傘下にあったときにフォード・フォーカス、マツダ・アクセラと共用開発されたV40も、間もなく新世代シャシーに刷新されるだろう。40シリーズはボルボにとって生命線ともなる販売台数の多いモデルだ。V40がコケるのはボルボにとって最大の悪夢だ。
XC40に乗ってみればその正念場で投入されたCMAの真価が分かるはずだ。XC40の出来が良ければ、V40は満を侍して華々しいデビューを飾り、かつ旧世代では持っていなかったSUVモデル、XC40の販売台数を加えて、ボルボの躍進が約束される。逆にXC40がダメなら主力のV40が失敗に終わる可能性が高まり、ボルボの命運が怪しくなる。そういう背景を持ってXC40はデビューしたのだ。
関連記事
- 2017年 試乗して唸った日本のクルマ
2017年も数多くのクルマがデビューしたが、全体を振り返ると日本車の当たり年だったのではないかと思う。改めて筆者が特に心に残ったクルマ4台のクルマをデビュー順に振り返ってみたい。 - マツダCX-8試乗 3列目は果たして安全だったのか?
マツダは国内SUVの最上位モデルにあたる新型車、CX-8を発売する。筆者が以前から着目していた3列目シートは果たして安全だったのか。試乗してみた。 - ボルボXC60 社運を懸けた新世代アーキテクチャの完成
先代XC60はここ数年、販売台数で見てもボルボの30%を占めるベストセラーだ。そのフルモデルチェンジは、ボルボにとってまさに正念場である。 - CX-5に気筒休止エンジン登場
マツダはCX-5の商品改良モデルを発売した。改良の中心はエンジンだ。新たに世界統一基準とするべくスタートした燃費基準、WLTPへの対応である。 - 第2世代SKYACTIVシャシープロトタイプに緊急試乗
2019年に登場予定のマツダの第2世代SKYACTIVシャシー。そのプロトタイプにドイツで緊急試乗した。その詳細をレポートする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.