福田次官のセクハラ騒動で、まだ語られていない本質的な問題:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
福田事務次官のセクハラ騒動を受けて、さまざまな議論が起きている。「マスコミのパワハラ体質が問題だ」「任命した麻生大臣に責任がある」といった声があるなかで、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。
公務員のスキャンダルが相次ぐ
では、なぜ福田氏は「お店の女性」としか楽しまない「言葉遊び」を、テレビ朝日の女性記者に対しても行ったのか。まずみなさんの頭に思い浮かぶのは、「人間性の問題」という言葉だろう。
一般社会では、銀座の高級クラブやキャバクラ好きのおじさんが、会社の飲み会でも女性社員にお酒をつくらせたり、「ほら、ぼさっとしてないでキミたちは部長の横に座って」なんて注文をつけたりするセクハラシーンがよく目撃されている。福田氏も頭の中が「酒席の女性=ホステスさん」的世界観でこりかたまったおじさんがゆえ、こういう言動に出たのでは、と思う方も少なくないのではないか。
ただ、筆者の考えはちょっと違う。
そもそも、一部の官僚のなかには「女性記者=ホステスさん」くらいに思っているフシがある。このような「勘違い」を促進させる組織やシステムこそ、今回のような問題を招いたと考えている。
「おいおい、いくらなんでもそりゃ官僚に失礼だよ」という声が聞こえてきそうだが、過去を振り返ってみれば、福田氏がかわいくみえるような「勘違い公務員」が山ほどいる。
例えば今から28年前、東大卒で福島県警本部長だったエリート警察官僚が、女性記者の自宅に押しかけたり、官舎に招き入れコタツの中で手を握ったりしたというスキャンダルが週刊誌で報道された。
1993年には、秋田地検の次席検事が、夜回りに来た女性記者を官舎にあげて胸に触ったことが写真週刊誌に報道された。
2000年代になると、もっと露骨になってくる。高知県警の巡査長は、女性記者を呼びつけては抱きついた。帰ろうとする女性記者のタクシーに乗り込むと「ホテルへ行け」と言いだすなどやりたい放題をして論旨免職となった。
2003年には大阪府警の副署長が女性記者と飲んだ後、「遅いからホテルに1人で泊まったら」とビジネスホテルへと連れていき、肩を抱き寄せたり、抱きついたりした、として懲戒処分を受けた。
2007年には、長崎市の企画部長が、女性記者をホテルに連れていって性的関係を強要するというセクハラ疑惑も報道された。
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