鉄人・衣笠祥雄氏は、なぜカープの監督になれなかったのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
元広島東洋カープの衣笠祥雄氏が死去した。71歳だった。2215試合連続出場記録の金字塔を打ち立てた名選手だったのに、なぜカープの監督になることができなかったのか。複雑な人間模様と舞台裏のドラマが激しく交錯していて……。
カープの現経営陣と衣笠氏の関係
「実は衣笠氏が現役時代に松田元氏の実父で当時の2代目オーナー、耕平氏と親しい関係にあったことにも深く起因している。歯に衣着せぬ言い回しでズバズバと耕平氏と直々にマンツーマンで話ができる立場だった当時の衣笠氏に対し、後々オーナー代行の座へ就くことがほぼ約束されて松田家の跡取りとして帝王学を学んでいた元氏が、どうやら強い警戒心を覚えたらしい」
「元さんはオーナー代行になって以降、球団経営の権限を握ると、キヌさん(衣笠氏)が監督になればコーチを含めたスタッフは自分の息のかかった人物で固めるだろうと考え、それを嫌がって指揮官就任を頑として認めようとしなかった。要するに衣笠体制にゴーサインを出せば、球団主導でスタッフを決められなくなり自分たちのコントロールが効かなくなることを元さんは恐れていた。
スタッフの選定作業は球団がすべて行うという条件を本人が飲んでいれば、おそらく衣笠監督は誕生していただろう。実際、本人にそういう条件で『監督をやらないか』というような話はもたらされたらしい。ただキヌさんが、その打診に『NO』の姿勢を貫いたそうだ」――。
これらの話は確たる裏づけがなく噂話の領域を出ない。ただし赤裸々に当時についてこのように回想しながら指摘するカープ関係者やOBが複数いることは確かだ。
いずれにせよ、はっきりと言い切れることは残念ながらカープの現経営陣と衣笠氏の関係があまり良好ではないという点だ。現に衣笠氏の訃報が明らかになった24日の時点で球界有識者たちの追悼コメントも次々と各メディアを通じて世に出回ったものの、松田元オーナーの言葉は公にされることはなかった。カープであれほどの功績を残した功労者に球団トップの人物が何も口にしないという図式は理由はどうあれ、やはり不可解だ。
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