残業削減のためにまた会議? トップの意味不明な指示を生む“罠”:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/5 ページ)
残業削減を唱えながら会議が増える……。トップの意味不明な指示に困っていませんか? 彼らは自分の考えが正しいと信じ、現場の問題に向き合うつもりはありません。そんなとき、私たちができることは何でしょうか?
働き方改革が叫ばれる中、トップの意味不明な指示で「余計、仕事が増えた」と嘆く人たちが後を絶ちません。
「うちの会社なんて、『残業削減にはコミュニケーションが必要』って社長が言い出して、会議だらけですよ。勘弁してほしい」
「会議をやるための残業ってヤツでしょ? うちも一緒」
「うちは部長が『自由な情報交換、議論の場を作ろう!』って、こないだ会議があったんですね。5時間ですよ。5時間も会議で拘束するなんて、どれだけ生産性下げてんだって感じでしょ(苦笑)」
「自由な意見とかいいながら、部長ばっかしゃべるんですよね」
「そうそう! その通り! 5時間も会議やって、一言もしゃべってない人、多数」
「まだ、社内の会議ならマシですよ〜。うちの会社、ちょっともうかるとすぐコンサルとか入れるんですけど、こないだ『あいさつが大切だ』みたいなこと言われたらしくて、毎朝、オフィスビルのエレベーターの前に経営陣がズラリと並んで、『おはようございます!!』って声を合わせてあいさつしてるんですよ。他の会社の社員とかも驚いちゃって、恥ずかくてたまんないですよ」
……ったく。困ったものです。
ただ、上の人たちの肩を持つわけではありませんが、“ジジイ”たちはジジイたちなりに、「何かやらなきゃ!」とやる気だけあるのでしょう。
とりわけ階層社会の上層部のエリートたちは、意識が高いが故に、経営コンサルタント、カリスマ経営者、成功者たちのサクセスストーリーに影響を受けがちです。実際には、 たまたまA社でうまくいったものだったり、運よく成功を収めたカリスマ経営者の後付けの成功体験でしかない。
ところが「前例好き」のジジイたちは、みんながやっていることであればあるほど安心して右へならい、あたかも目の前にある問題が解決したような気分になっていくのです。
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