あの大企業も大炎上 「しかるべき手続き」の落とし穴:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(5/6 ページ)
キリンビバレッジがTwitterで発信し、炎上した「午後ティー女子」。社内で「しかるべき手続き」が行われたはずなのに、なぜ間違ってしまったのか。
「それっておかしい」をやってしまうリスク
集団に流される個と、集団を利用する個――。
集団の愚行に走った途端、私たちはより楽観的になり、自分たちは不敗であると過信する。自分の選択肢は正しい、自分たちは間違っていない、と自分を納得させ、あり得ない方向に進み続ける。そう、誰かがストップをかけるまで、どこまでもどこまでも突き進むのです。
つまり、どんな人であれ、人が人である以上、“ある環境”に置かれた途端、「それっておかしいでしょ?」と後ろ指を指されるようなことをやってしまうリスクを常に抱えています。実に恐ろしいことです。
今回のキリンビバレッジの“事件”をチャレンジャー事故と同様に扱うのは「大げさ」と思われるかもしれません。
しかしながら、同社はこれまでも度々炎上騒ぎを起こしてきました。
2016年、「アスタリフトウォーター」の販促の一貫で、漫画「東京タラレバ娘」とコラボしたときは、PRサイトに出てくるキャラクターが、「女が年を重ねるにつれて知っておいた方がいいことをわざわざ教えてやろうっていう超・超・親切企画タラ!」「この類のことは、いつ始めてもおかしくないレバ。というか、先延ばしにすればするほどあとで自分が後悔するだけレバ」と語りかけ、「脅迫している」と炎上。
また、キリンビールが「のどごし生」の販促で、「缶になってみた。」と、ビール缶の視点で女性の1人暮らしをのぞき見るという動画を公開。盗撮をイメージさせる、と問題視する声が一部で上がっていました。
これらもまた「しかるべき社内手続き」をしていたのでしょう。
“大ジジイ”たちの「面白いじゃないか!」という一言で口をつぐんだり、内心は「これはちょっと……」と思った社員が保身に走ったり。
あるいは若手の気鋭クリエーターが、「これは最高ですよ!」と自信満々に言ったことで、“今”に疎いジジイが、「そっか。そういうものか。だったらコレだ! コレでGOだ!」とジャッジしたことで、みんな右にならえしてしまったり。
階層社会には常に評価が伴い、階層の階段を上がるためには上に従うのがベスト。ちょっとでも異論を言おうものなら、飛ばされるのがオチ。
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