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CXシリーズに救われたマツダの決算:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
マツダが17年度決算を発表。各地域での販売台数推移を見ると、同社のクルマは全世界で売れていることが分かる。そして、その結果の要因はCXシリーズなのだ。
問題ありの利益率
ここまでを見ると、増収増益で、全エリアで販売台数がプラスであり、はなまる付きの決算に見えるのだが、実はそうとも言えない。
財務指標を見ると、売上高営業利益率が4.2%と低い。売上高営業利益率とは「いくら稼ぐためにいくらかかっているのか」を示す数字だ。20兆円の売り上げで10%の利益率なら利益は2兆円。つまり売り上げと利益率をセットで見ると稼ぐ力が分かる。
先週の記事でホンダの決算について筆者はこう書いた。
「もやもやするのは営業利益率の低さで、5.4%に止まる。例えばスバルがお祭り騒ぎのように売れた15年にはこの営業利益率で17.5%を叩き出した。さすがにこれは異常な数字だが、利益率の優等生であるトヨタは、逆風さえ吹かなければ10%以上をコンスタントに維持し続けている。ここのところ日産とホンダは5%をクリアするあたりでウロウロしている印象が強い」
マツダの利益率は低すぎる。トヨタだったら切腹ものの利益率である。とはいえ、稼ぐ力はそれぞれなので、ずっとこんな調子なのかを確認するために利益率の推移を見て見ると以下の通りである。
2012年:赤字のため数字なし
2013年:2.4%
2014年:6.8%
2015年:6.7%
2016年:6.7%
2017年:3.9%
2018年:4.2%
13年に黒字化して以降、6%台後半とまずまずの数字を保ってきたが、17年以降急速に悪化している。こうなると利益率悪化の原因が問題だ。
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