瀬戸大橋30周年、四国は本州スーパーの草刈り場に:小売・流通アナリストの視点(3/3 ページ)
瀬戸大橋が開通して今年で30周年。その後、明石海峡大橋、瀬戸内しまなみ海道が開通したことで、2000年代以降、本州〜四国間は実質地続きになった。その影響で四国のスーパーマーケットの勢力地図が激変したのだ。
世代交代は繰り返す
こうした店舗の世代交代の波は、必ず繰り返す。今、四国に参入して、シェアを伸ばしている企業についても、そう遠くないうちに戦略転換を強いられる時期が来る。大型複合型施設は、今は優位に展開していたとしても、人口減少と高齢化の進行著しい四国においては、そうした施設の飽和もそんなに先のことではないはずだ。食品も売っている利便性の高いドラッグストアが、既に大型複合施設の機能を代替しつつある。四国企業を席巻している本州企業も数年以内には、かつて駆逐された四国のスーパーと同じ課題に向き合うことになるだろう。
しまなみ海道は、多島海の美しい景色を島伝いで俯瞰しながら、走り抜けることができる素晴らしいドライブルートで、個人的にはとても気に入っている。以前、通りかかった際には、途中で由緒ある神社があると聞き、大山祇(おおやまづみ)神社に立ち寄った。
大山祇神社は聖徳太子の時代からこの地にあるとされ、全国各地の山祇神社の総本社とのこと(カミさんに聞いた話では有名なパワースポットであるらしい)。源平合戦時代の武将から始まって、中世に活動していた海賊の村上水軍、旧帝国海軍からも、水軍の神さまと崇敬されていたようだ。江戸時代以前の物流の主流は船だったことから、かつては、瀬戸内海のしまなみ海道エリアは東西流通の要衝だった。古くからの海上交通の要所であればこそ、こうした古社がある。
これが明治以降は鉄道と自動車の時代を経て、四国は「巨大な離島」となり、しばらく物流僻地となっていたが、本四橋によって一気に解消した。その時々の環境によって、人やモノの動線は変化し、その動線変化に従って人の生活も変わる。こうした動線変化の前兆を見定めるのは、その時点では難しく、正確に予測した上で対策を打ってきた者はいないといっていい。
これからはネットによるバーチャル空間の拡張や、自動運転による究極的にパーソナルな移動手段といった技術革新で、変化のスピードは加速するばかり。さらに予測困難な時代になることは間違いない。
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