巨大不動産企業、日本郵政の採るべき道は?:小売・流通アナリストの視点(1/3 ページ)
ここ数年、主要ターミナル駅前にある中央郵便局が再開発されている。国内有数の優良不動産を保有する企業として、日本郵政の採るべき戦略とは――。
横浜駅西口を出て上を見ると、建設中の再開発駅ビルが、かなりの高さにまででき上がっている。JR東日本の駅ビルだった「CIAL(シャル)」と横浜エクセルホテル東急を壊し、26階建ての高層ビルが2020年には完成予定だという。
これまで中央口には東西自由地下通路がなかったため、駅を越えて行き来するには階段を上り下りしなければならなかったが、地下通路が直結し、フラットな通行が可能になる工事も並行して行われているのだ。
記憶にある限り、横浜駅ではこうした再開発、駅改良、地下鉄新設などの工事がずっと続いていて、この駅には「日本のサグラダ・ファミリア」という異名まであるらしい。工事が一段落するのは30年であり、実際に26年完成予定のサグラダ・ファミリアよりも長く工事が続くようだが、利用者としては、商業施設等ができて、東西自由通路もできるのであれば、便利になってありがたいことではある。
どんな建物ができるのかと、再開発計画の概要を見てみると、駅の上には少し張り出すものの、線路の上はこれまで通り、空が広がる。ターミナル駅だと線路とホームが何本も並んでいるので、その上の空間は相当な広さがある。この空中を活用すれば、日本有数の商業立地が誕生するのにと思っているが、それは素人の考えであって、常時、運行を続けるターミナル駅の線路の上に、ビルを建てることなど技術的にもできないことであるらしい。
昔、私鉄各社は終点を少し手前にずらして、線路やホームを建物に取り込んだターミナルビルを建設したので、商業施設や鉄道系百貨店をつくることができた。東急グループが今取り組んでいる渋谷駅の大規模再開発のように、線路を地下に移設してしまうぐらいのことをすれば、ホームや線路の上にも建物が建てられるのであろうが、JRのターミナルの場合、終点でもないし、規模も大きすぎるようだ。
やはり、駅前の再開発は駅の隣地の有効活用ということで、横浜駅の周りを見渡すと、東口に隣接した良質な候補地が残っていることにすぐ気付いた。横浜中央郵便局である。
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