コンビニとネット通販に対抗 老舗洋菓子チェーンの新戦略:ビジネスモデルの転換(1/3 ページ)
老舗洋菓子チェーンが新しい出店戦略や販売戦略を打ち出している。国内市場が頭打ちになる一方、コンビニやネット通販といったライバルが台頭していることが背景にある。老舗のブランド力を生かしてさらに成長できるだろうか。
不二家やシャトレーゼといった老舗洋菓子チェーンが新たな出店戦略や販売戦略を打ち出している。背景にあるのは「働く女性の増加」「都市部への人口流出」といった社会構造の変化や、コンビニ・ネット通販の台頭だ。国内市場が頭打ちになるなかで、どのような打開策を打ち出しているのか。
TPCマーケティングリサーチは5月15日、パティスリー(生洋菓子)市場に関する調査結果を発表した。調査対象は、不二家や銀座コージーコーナーといった路面店・百貨店(駅ビル等を含む)で店舗展開している老舗洋菓子チェーンが中心だ。
16年度のパティスリー市場は前年度比0.4%減の3616億円だった。中でもカップスイーツ(ゼリーやパフェ)は3.4%減、ハンドスイーツ(ワッフルやスフレ)は3.8%減と特に大きく落ち込んでいる。
コンビニやネット通販で買うお客が増えた
パティスリー市場が頭打ちになっている背景について同社は「スイーツの需要が、主要販路である路面店や百貨店等の従来チャネルから、利便性を強みとしたコンビニや通販等のチャネルにシフトしているため」と分析している。
確かに、コンビニは自社開発のスイーツを強化している。近年は高額化・高品質化も進んでおり、老舗洋菓子チェーンの脅威となっている。例えば、ローソンはGODIVAと共同開発した高価格帯のスイーツを17年6月から投入しており、累計で1000万個を販売している。18年4月には同シリーズで最高価格となる「Uchi Cafe ×GODIVA ショコラパフェ」(税込450円)を発売している。
老舗洋菓子チェーンの多くは路面店や百貨店で自社商品を販売してきたが、利便性の面でコンビニやネット通販が優位に立つケースが出てきた。働く女性が増えた結果、仕事帰りにコンビニに立ち寄ってスイーツを買うのが当たり前になった。さらに、自分の好きな時間に受け取れるネット通販を利用してこだわりの高級菓子を買うお客も増えている。
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