増殖続ける「俺の株式会社」が食パンに注目した理由:高い集客力(2/2 ページ)
「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」などで成長を続けてきた「俺の株式会社」が食パンを強化している。食パンの持つ潜在力に注目したからだというが、その理由とは?
名物社長が食パンに注目した理由
「俺の株式会社」を設立した坂本孝社長は、「銀座の食パン」リブランディングの記者発表会で食パンに注目した背景について説明した。
坂本社長は、多くの飲食店が集客する方法ばかり考え、商品力を向上させる取り組みを怠っているのではないかと分析している。本当においしいものには人を引き付ける力があり、どんなに遠いところからでもお客は来てくれる。
では、どのような料理ならお客に評価されやすいのか。「1番目は日本そば。世界一おいしいそばなら(東京から)長野まで食べに行く。そばには人を200キロ引っ張る力がある」(坂本社長)。そして、2番目にくるのが食パンだという。
坂本社長は「食パンには人を100キロ引っ張る力がある。駅から近ければ店舗の立地はどこでもいい。ちょっと大げさにいうと、銀座にある俺のBakery&Cafeを訪れるお客さまの半分は東京都23区外からくる」と説明する。つまり、集客力のある商品を考える中で行き着いたのが食パンだったのだ。
生食パンの専門チェーン
高級生食パンの専門チェーンに「乃が美」(大阪市)がある。取り扱う商品は「生」食パン(432円)とこだわりジャムセット(3240円)だ。ジャムにはストロベリー、マーマレード、ブルーベリーの3種類があり、1本ずつ1080円で購入することもできる。現時点の店舗数は92店にものぼり、『高級「生」食パン』の名称を商標登録している。
乃が美の成功を見れば分かる通り、おいしさが支持されれば食パンはそれだけで集客が見込める商品なのだ。俺の株式会社が食パンの業態を強化するのは、そこに高い成長性を見いだしたからなのだろう。都内を中心に出店する同社がどこまで店舗数を増やすのか、注目される。
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