厚労省“ブラック企業リスト”更新 「王子製紙」の工場が追加:公表から1年も掲載企業途絶えず
厚労省が、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新。王子製紙 春日井工場など24社が追加された。各社では賃金の未払いや長時間労働などが起きていた。
厚生労働省は5月31日、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新した。4月までの分として24社を追加した一方、厚労省が「掲載の必要性がなくなった」と判断した企業を削除したため、掲載企業は458社となった。
過労死ゼロを目指す取り組みの一環で、2017年5月にWebサイト上に初公開。公表から1年がたったため現在は削除されているが、当初は電通本社やパナソニックなどの大企業が名を連ねる“ブラック企業リスト”として話題を呼んだ。
今回の更新でも従来と同様、労働者を危険な環境下で働かせた企業、賃金の未払いがあった企業、違法な長時間労働があった企業などが追加されていた。
新たにリスト入りした王子製紙 春日井工場(愛知県春日井市)では、人に健康被害が生じる恐れのある特定化学物質の貯蔵設備において、労働者に保護用の衣服を着用させないまま作業に当たらせていた。
土木・建築事業者のヤマウラ(長野県駒ヶ根市)では、高さ7.7メートルの屋根の上で、開口部に覆いを設けるなどの安全策を講じないまま従業員に作業させていた。
イベントの企画や企業のPRを手掛ける美研インターナショナル(東京都港区)は、労働者3人に2カ月間の定期賃金計約50万円を支払っていなかった。ソフトウェア開発企業のエイ・ティ・エス(京都市)は、労働者1人に対して41日分の定期賃金約61万円が未払いだった。
縫製会社の竹田縫製(福井市)では、外国人技能実習生6人に1カ月分の給与計約98万円を支払っていなかった。
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